自己点検・評価

自己点検・評価インデックス>>第3章第1節(12)授業形態と授業方法の関係

教育研究の内容・方法と条件整備

第1節 外国語学部

(12)授業形態と授業方法の関係

1)総合教養
1. 授業形態と授業方法の適切性、妥当性とその教育指導上の有効性
 共通科目では、パソコン登録を行い、各科目とも受講者数を絞っている。上限75名を基本とし、講義科目としては、少人数の講義の確保に努めている。履修登録方法により、第一志望の科目を受講できない学生が出るようなケースを避ける方法が必要である。

 また、基礎ゼミは、学生を20人前後の少人数にクラス分けし、演習形式で行われており、毎回学生はレポートを提出する。提出されたレポートを担当教員が添削し、次回の授業時に返却すると共に、全体的な講評もする。

 教職課程を履修する学生(4年次)に対して「教職ゼミ」を必修とし後期に開講しており、担当教員がそれぞれテーマを設定し、授業は3人の教員によるオムニバス形式で行う。1クラス15人程度の人数で、授業の方法は、学生自身が資料を集め、分析・検討するという形式で進め、グループまたは個人で成果を発表し、全体としてそれぞれのテーマについてまとめる形式をとっている。教師間の連携を図ると共に、テーマについて絶えず研究し、学生にとって魅力ある講座、将来教師になった時に役立つ内容、教員と学生との人間的なふれあいの場、そんな講座を目指して努力を続けたい。

 他方、体育の授業は、実技の習得だけでなく、理論の修学も必要である。授業の展開においては、これらのバランスを保つことができるように留意している。学生と教員及び学生間の密接な関係が、教育的効果に結び付いている。
2. マルチメディアを活用した教育の導入状況とその運用の適切性
 それぞれの科目でマルチメディアを活用して学生の授業内容の理解を促したり、学習意欲を刺激しようとする試みが進んで来ている。マルチメディアの活用が学生の学習の理解を促したり、学習の便宜を図ることにつながったり、学生と教員の双方向のコミュニケーションを容易にするなど、一定の効果が見られる。

 共通科目「情報IB」では学生は教員がパワーポイントで作成した説明用ファイルを机上のモニターで見ながら講義を聴いており、モニターには図表等、教科書ではモノクロであるものがカラー画像で映し出される。説明用ファイルをWORDファイルに変換した形のものが教員用フォルダに入れてあり、受講者はそれをコピーして自分のノートの一部とすることが出来るようになっている。学生がコピー可能なファイルが200以上あるが、科目毎のリストを作る等検索の利便性を高めることが必要である。

 また、体育では、理想的なパフォーマンスをVTR等を用いて提示したり、学生自身の動きをVTRやデジタルカメラに収めて解説や評価を加えたり、また試合結果や競技記録を統計処理し、グラフや表にして学生の理解を促している。これらは、学生が自らのパフォーマンスを正確に認識する助けになっている。教材になる映像のデータベース化が必要である。映像を用いた動作解析、コンピューターを用いたそれぞれのパフォーマンスの比較、効果的な動作のシュミレーション表示などの可能性を模索しており、授業において学生に提示・配布する資料等について、コンピューターを用いた模範動作、練習方法等を収めた大容量の媒体を用いることも検討中である。

 一方、副専攻語学(スペイン語)では、文法事項、動詞の活用表、ボキャブラリーのリストを備えた、学内専用のホームページを開設し、復習問題を載せている。ホームページに学内のどのパソコン教室からもアクセス可能であることや動詞の活用表などが載せてあることから辞書もテキストも無くても問題に取り組むことができ、学生が少しの時間を活用して学習することを可能にしている。また、授業やテキストの内容に則した問題だけでなく、それ自体がひとつの教材になるようなマルチメディアの特性を活かした教材の作成を視野に入れている。

 その他、基礎ゼミでは、担当教員の合意に基づいて、視聴覚教材の利用を共通化している。また、共通科目の中には、レポート提出にEメールやBlackboard Systemを活用している科目もある。それぞれ使っているメディアは違うが、どの科目においてもマルチメディアの導入により、学習効果を上げることが出来るよう工夫しており、その効果は上がっていると言えよう。
2)英米語学科
1. 授業形態と授業方法の適切性、妥当性とその教育指導上の有効性
 現代はコンピューターの発達にともない、情報が手軽に入るようになっているので、基礎学力は勿論のこと、判断力、思考力を強化する教育が大変重要になっている。大学の教育も、知識を一方的に与える講義形式から、情報を入手し、批判し、結論を出し、それを口頭、および文章で公に発表する、というプロセスを含んだ、幅広い教養を教えるものとならざるをえない。入試が多様化したために、入学する学生の学力もまちまちであり、その学生をある一定の基準に到達させて卒業させるのは大学という組織の社会的責任である。そのためには、学生ひとりひとりに教師が責任を持たねばならない。その意味でPower-up Tutorialなどの口頭発表の強化、リサーチやグループ討論、発表を含む授業形態は、学生のニーズや、企業などの望む能力開発につながるものであり、この方向での個々の教師の努力はこれからも続けられなくてはならない。

 英米語学科において平成15年度から1年生対象に導入されたPower-up Tutorialの授業は、学生にとって魅力ある教育プログラムを提供すべく、3人の学生に一人のネイティブの教師がついて、学生の口頭発表能力の向上を目指しており、学生に好評である。また、語学の授業のうち 1年生の「会話・作文」は、クラスを半分に割った少人数クラス(平均19.23人)で行われている。2年生と3年生の「会話・作文」の授業は習熟度別に、やはり少人数クラス(2年生平均21.33人、3年生平均23.38人)で行われている。しかしながら、4年生ではフルサイズのクラスに戻り、また、習熟度の区別も取り払われる。これは4年生のI期で必要単位を満たした者が授業に来なくなることや、就職活動などで欠席が多くなることからとられた方法であるが、実際のクラスサイズは32.33人と大きくなり、会話や作文など、個別の指導をするには困難を来たしている。また、4年生の「会話・作文」の2期には3年生の参加も認めているので、これも大人数クラスになる原因になっている。

 講義科目である1年及び2年の「英米文化」の授業は他学科、他学部にも開放されているため、平均受講者数が50.52人と大きいが、自立したリサーチをするための基礎となる図書館での文献検索、ノートの取り方、討論を含むペア及びグループ・ワーク、口頭発表、ターム・ペーパーの書き方等の技術を含めて教えている教師が多い。「講読・文法」の授業は全クラスがフルサイズで、1年生平均39.10人、2年生41.9人、3年生48.50人、4年生31.00人である。ノートのとり方や要約の仕方など、フィードバックの必要な授業をするには教師の負担が大きい。この他に1、2年生のみ「総合演習」というクラスがあるが、これも1年生平均38.65人、2年生40.40人である。

 3、4年対象の「英語研究」のクラスは平均28.54人、いわゆる「ゼミ」と呼ばれている「英米文化研究」は平均27.07人であり、1、2年生で学んだリサーチ・スキルの完成を目指し、卒論につながるように個別指導している教師にとっては、大変な負担となっている。ゼミ論文を作成するなど、意欲的な教師個人の努力に負っているところが大きい。「ゼミ」クラスが大人数のため講読クラスのようになっており、卒論指導や、卒業後のアカデミックな推薦状を書くのが「ゼミ」指導の教師と必ずしも一致しない現状は、学生のために親切であるとは言いがたい。同じ大学内で学部内での他学科との格差、他学部との格差が生じ、学生の満足度にも影響を与える恐れがある教育の実効力を高めるために、少人数クラスでのきめ細かい指導はこれからの大学教育では不可欠な要素となってきている最優先されるべきは、所謂「ゼミ」クラスの少人数化であろう。学部内格差、学部間格差をなるべく少なくするため、他学科や国際経営学部と同レベルとまではいかなくても近づける努力をし、専門科目の一層の充実を図ることが必要である。
2. マルチメディアを活用した教育の導入状況とその運用の適切性
 英米語学科では、最新の情報機器を駆使した魅力ある教育プログラムを提供している。コンピューターを使用したレポート作成は全員の学生が行えるようになっている。授業でインターネットを使ってリサーチするだけでなく、パワーポイントを使ってプレゼンテーションを行ったり、HTMLを使って自分のウェブ・ページを作ったりするクラスもある。また、スピーキング・ラボでは会話をしているところをビデオで撮り、それを学生自身が分析することにより会話力の向上を図っている。OHP、ビデオ、DVDなどを使用するクラスが多い。

 しかしながら、マルチメディアの利用が進まない面も見られる。たとえば、学生の問題として、ALCの高価な自習用ソフトや、その他の自習用ソフトの利用があまりなされていない。また、設備の利用率が低い。わが校にはコンピューターが設置されている授業用の教室が10室あるが、月曜から金曜までの5日間、朝1時限から4時限までの枠の使用状況を見ると、利用率は79%であって、決してフルに使われているわけではない。5時限を加えると、利用率はもっと低くなる。空いている教室は20人用、30人用といった少人数用の部屋が多い。

 本学の学生、教師ともにマルチメディアへのアクセスにはある程度、恵まれているといえる。しかし、それでもその活用が十分なされているとはいえない状況である。その理由にはいろいろな要素があると思われるが、1つには新しい設備を導入する時に、利用者である教師のニーズが反映されていないことが考えられる。学生への教育の質にかかわることなので、新機種を導入する時は、利用者である教師のニーズを調べ、メディア情報教育センターと教務課が密な情報の共有を図るべきである。

 これとは別に、教員のコンピューター或いは情報教育に対する関心が一般的に低いという問題がある。教員の積極的なブラックボード参加を促すために、教員を対象としたマルチメディア支援講座が必要ではないだろうか。問題が起こったときのサポートシステムを作ることも必要である。マルチメディアの活用をもっと広げ、オンライン・マテリアルをもっと授業に利用するべきである。そのためにはコンピューター室の増加が望まれるとともに、今授業で使われていないコンピューター室の利用を高める必要がある。学生については、ブラックボードは授業の予習、復習のためにも使われるべきなので、いつでも簡単にアクセスできる必要があり、また、自習用ソフトを最大限利用できるよう、学内のコンピューターの更なる充実を図らなくてはならない。
3)フランス語学科
1. 授業形態と授業方法の適切性、妥当性とその教育指導上の有効性
 授業形態としての主な特色は、1年次の「会話・作文」の授業では15名編成を原則とする。
1〜2年次の専攻語学の科目では、日本人教員とフランス人教員がチームを組んで授業に臨む、2〜3年次の専攻語学科目で習熟度別クラスを編成する、専攻語学研究科目の「フランス語表現法」を特に優秀な学生のための特別クラスとし、留学前後の学生をフォローする(平成15年度より学科独自の試みとして実施)、などである。

 また、授業方法としては、専攻語学の科目では担当教員が学生一人一人の進度に合わせた個別指導の形式を取り入れる。特に2年次以上の学年の「会話・作文」においては、発表形式に重点を置いて、語学の運用能力と創造力を高める指導を行う。科目の種類を問わず、学生の学習意欲を引き出すようテーマや教材に配慮した授業を行う。大学院生をティーチング・アシスタントとして適宜活用するなどである。こうした授業方法は、その多くが各教員の創意と工夫によるものである。これらは、教育指導上必要かつ有効と考えられる。事実、文部省のフランス語検定試験合格(基礎終了レベル以上)による単位認定は制度が発足した平成12年度では、77名(うち「3級」が64名、「2級」が11名、「準1級以上」が2名)、平成14年度では、89名(うち「3級」が81名、「2級」が7名、「準1級以上」が1名)に及んでいる。なお、2級は3級とのレベル差が大きく非常にレベルが高い。また学生たちの海外留学への意欲は全体的に極めて高い。更に少なくとも下級年次の学生の授業理解度や授業評価アンケートでは、良好な結果が得られている。

 一方で、習熟度別の授業は「会話・作文」の科目において実施され、1年次、2年次修了時の成績をもとに、上下2クラスに分割する方法を取ってきた。しかし、これは成績上位の学生や下位の学生にとってはメリットがあるが、中程度の学生にとっては、必ずしも理想的なクラス編成のシステムとは言えない。従って、習熟度別クラスのあり方をもう一度議論すべきである。また、「会話・作文の」授業は原則15名であるが、実際は再履修者の存在により20名を超す場合もあり、より少人数での授業が望まれる。現行では同一学年の日本人教員とフランス人教員が異なる教材を使用しているため、学習進度を統一させることが難しく、改善が望まれる。

 こうした状況に対して、少なくとも、平成16年度入学者からは、「実用フランス語I、II」「基礎フランス語I、II」「総合演習I、II」「音声演習I、II」の同一学年の全授業で同じ教科書を用い、教育内容の統一を図る予定である。更に平成16年度から2年次を対象に、学生3名をフランス人教員1名が担当するチュートリアルの授業を開始する。他の学生の目をあまり意識せずに発言できる機会を設けることにより、学生のフランス語運用能力の飛躍的な向上が期待される。習熟度別クラスの問題については、学科独自で制度を改変することは困難であるから、学科会議の場で十分議論した後、教務委員会など、全学的な場での検討をめざしたい。
2. マルチメディアを活用した教育の導入状況とその運用の適切性
 専攻語学の科目である「総合演習」では、CALL及び電子耳装置(周波数加工装置)を使用し、リスニング・スピーキング能力を高める授業を行う。電子耳装置による聴覚トレーニングは発音矯正にも効果的であり、トレーニングを受けた学生は、全く受けない学生と比較して、フランス語の音声の印象を作り出すリズム、メロディー、抑揚が正確で、総じて構音に滑らかさが認められ、聴覚心理的、音響学的にも自然な発話により近いことが判明している。また、アンケート調査から同トレーニングが受講学生から概ね好評であることもわかった。

 しかしながら、電子耳装置による聴覚トレーニングは、週1回の授業での使用に限られており、本来の効果が得られていないのが現状である。平成16年度に「総合演習」の1つが「音声演習」となるカリキュラムの変更に伴い、少なくとも電子耳装置による徹底的な音声教育を検討する。
一方、専攻語学研究の「情報フランス語」では、リアルタイムで必要な情報を検索するため、インターネットを本格的に利用した授業がなされている。また、学生らの基本的な情報処理能力の養成を図るために、必修科目「情報処理」が設定されている。学生のコンピューター使用能力は年を重ねる毎に確実なものになってきており、授業の効果が現れていると考えても良いであろう。

 なお、情報処理の基礎の他に、高度な知識や能力を身に付けさせる授業を平成16年度に開講する予定があり、情報の受容と発信という現代に相応しい教育の理想に近づくことができる。
4)中国語学科
1. 授業形態と授業方法の適切性、妥当性とその教育指導上の有効性
 専攻語学の授業では、クラス規模は全て40名未満としている。取り分けネイティブによる中国語会話の授業(週2コマ、同一教員による)では更にそれを二分割しているため、1クラス10数名の少人数で授業を行っている。語学教育に不可欠な少人数教育が既に実現しており、学生個々にきめ細かい教育指導を行うことで語学力の向上に効果的な役割を果たしている。

 平成16年度からは、2年次の学生を対象に、更なる語学力向上を図るべく専攻語学の授業を 1コマ増加し、形態も教師1名に学生3名とする少人数教育を実施する予定である。
2. マルチメディアを活用した教育の導入状況とその運用の適切性
 中国語学科ではトータルで週に17コマの授業がパソコン教室で行われ、内訳も語学授業のみならず、中国文化や中国経済の授業においてもパソコンを使用し、インターネットから情報収集させたり、パワーポイントを用いて発表させたりしている。また中国語学習のソフトウエアも一部独自開発している。こうしたパソコン教室使用頻度の高さをより効果的にするため、1年生へは全員にノートパソコンを貸与し、課題を自宅でこなすよう指導している。

 また中国語学科では2001年度より学科独自のホームページを開設し、学科行事の掲示や、課題の提示を行うとともに、中国語学習に役立つ情報を豊富に提供してきているが、ここでも単なる文字情報だけでなく、暗誦・弁論大会などの音声も掲載し、マルチメディアを活用したものとなっている。授業・自習・ホームページと、あらゆる面でマルチメディアを駆使して音声面での学力強化を図るとともに、情報の受発信能力を高める教育を行っている。

 今後更に多くの中国文化の専門ゼミの授業において、インターネットから中国の社会・文化・経済の情報を収集し、整理させ、独自の見解をまとめあげて発表させるという訓練を実施していく方針である。
5)日本語学科
1. 授業形態と授業方法の適切性、妥当性とその教育指導上の有効性
 授業形態と方法は科目別にいろいろであるが、学生を良く考えさせ、積極的に授業に参加させる学生参加型が中心的である。それには、前もってクラスで扱われる問題を提示しておくことが肝要だが、各教員はそれを一般的にやっている。教育指導上、それは有効である。教員は、学生参加型の授業を適切にやっており、それは教育上適切であるが、さらなる改善は常に心掛けなければならない。そのために今後は随時、教員専用の教育研究会を開くこととする。
2. マルチメディアを活用した教育の導入状況とその運用の適切性
 これまでのところ、教室におけるコンピューターの利用は、教授者からのインプット手段としてのものにとどまっている。教室外においては、課題活動のためのインターネットの利用、電子メールによる課題提出などが要求されることがある。教室活動へのインターネット情報の活用、ネットワークを利用した学生間の討議、IT手段を利用した発表・レポートなどは、今後促進することが望まれる。学生においては、今後、履修が要求される情報技術科目が強化されるので、マルチメディア利用能力が高まることが期待できる。教員においては、IT手段の利用?????"に習熟する一方,教授活動におけるそれら手段の利用方法を熟知するよう、研修機会を増やすことが望まれる。学内情報教育部門において、設備の更新、教員に対するサポート態勢の整備などが検討されている。