自己点検・評価

自己点検・評価インデックス>>(13)国内外における教育研究交流

教育研究の内容・方法と条件整備

第1節 外国語学部

(13)国内外における教育研究交流

 本学では提携校から毎年40名以上の交換留学生が日本語を学んでおり、キャンパスが留学生と日本人学生の相互理解の場になるよう力を入れている。その一環として、ランゲージ・ラウンジを運営し、英語、フランス語、中国語、日本語で留学生と日本人学生が自由に会話をする場を提供している。それに加え、年に数回開催される交流パーティーなどを通して、ますますの国際交流の推進に期待している。又、各学科とも教員が留学生を授業に招待し、日本人学生はアシスタント的な役割を持つ留学生から異文化を吸収する機会を得ている。
以下は、各学科における教育研究交流である。
1)英米語学科
1. 国際レベルでの教育研究交流を緊密化させるための措置の適応性
 本学のサバティカル制度を利用して、英米語学科からも過去数名の教員が海外の高等教育機関で研究に従事した。その間サバティカル中の専任教員の担当科目が、提携校からの教員によって補充されたこともあった。提携校からの教員が母国に帰った後、本学科の総合英語のクラスの学生とディスカッションボードを使って合同授業が半期開催された。提携校との教員の交換は、教育研究交流をする上で大変意義深い活動である。特に交換教員が母国に帰った後の交流は貴重で、本学と提携校との合同授業が半期しか続かなかったのは残念だ。

 年々提携校との学生の交換は盛んになってきているが、教員の交換は頭打ちである。担当科目の補充が一番の問題になっているが、提携校と交渉を重ね、条件に合う教員を見つけるための地道な努力が必要であろう。
2. 外国人教員受け入れ体制の整備状況
 英米語学科では提携校から客員教員を5名受け入れ、授業以外にも学科主催の行事に積極的に参加してもらっている。英米語学科では1年生対象に英語運用能力向上のための英語集中セミナーを夏期休暇中に2回実施しているが、その計画、運営は客員教員に全て任せられている。毎年7月と9月に実施される高校生対象の体験授業でも、会話のクラスを担当してもらっている。

 また、本学科では一年生対象に学生3人に対してネイティブの英語教員一人というPower-up Tutorialを実施しているが、ネイティブの専任教員がそのコーディネーター役を務めている。チューターは平成15年度に2人雇用されたが、来年度は4人に増える予定である。チューターは Power-up Tutorialを担当する以外に、他の授業のTeaching Assistantとしても機能している。また、留学を予定している日本人学生のために準備コースも課外で週1回教えている。英語圏の大学の授業体系に早く慣れるように、ディスカッションや英語での小論文の書き方などの指導をしている。

 非常勤のネイティブの教員に比べ授業以外にも学生との交流機会の多い客員教員は、学生の質の向上においても貢献度の高い貴重な存在である。年齢的にも若手の教員が多く、授業もバイタリティに溢れていて学生の間でも人気が高い。原則として1年交代なので、顔ぶれがいつも新鮮で、出身国に関する最新の知識を学生に伝えることができる。しかし裏を返せば、最長4年までしか職務につけないために、本学に慣れた頃に帰国しなければならないという問題点もある。一方で本人が長期間拘束されることを希望しないケースもあり、多角的に検討することが必要と思われる。他にも提携校に英語教員養成の学科がない、日本の大学と学事暦が異なる等のため、応募者が少ないことが問題点としてあげられる。

 客員教員雇用に関する問題の改善方法として、EFL等の学科を持っている大学と提携を結び優秀な卒業生を紹介してもらうことで努力をさらに重ねる必要があろう。

 また、英米の大学の学事暦に併せて、教員を9月にも採用する制度を設けることも考えられる。採用時期を2つにすることで、半年早く採用された先輩教員が後輩教員にアドバイスをすることが出来るなどの利点があるのではないか。しかし学期毎に教員が異動することはかならずしも学生サイドから見てプラスばかりとは言えない。授業の継続性も重要なことで功罪は相半ばするところに問題があろう。

 英米語学科からは毎年数名の教員が、海外での研修に参加したり、国際学会で発表をして教育研究の外部発信に貢献している。その成果は学内の紀要はもとより、学会誌等でも発表されている。又近年夏期休暇中に、中学高校の英語教員を集め本学の教員が短期のワークショップを開催している。毎年テーマを決めて、英語教育の色々な側面に取り組み、中学高校の先生に好評を博している。講師陣は本学の教員を中心に、他校からも著名人を招き、参加者の増加を図っている。そのためか毎年参加者は増加している。

 学会等で日頃の研究成果を発表し、雑誌投稿や本の出版によってより多くの人に発信することは重要であると同時に、外部発信の場を提供することも必要となってくるのではないだろうか。英語教員対象のワークショップは、規模は小さいものの場の提供という点で大きく貢献していると思われる。今後はワークショップのみならず、本学で学会を開催することも必要となるであろう。また科研費等を利用して、より多くの教員が研究成果を発表することも望まれる。
2)フランス語学科
1. 国際レベルでの教育研究交流を緊密化させるための措置の適応性
 平成元年から平成11年までに、1名が文部省とフランス政府の補助によるフランス語教員のためのフランスでの研修に参加し(海外のフランス語教員との交流と教授法の研修)、2名が、本学の海外派遣教員として長期(半年から1年)のフランス留学の機会を得て、第一線の研究者と交流する機会を得た。

 なお、前者の研修は、フランス語フランス文学会とフランス大使館文化部による国内での研修参加を前提条件のひとつとしているが、大学では、国内での研修参加を費用の面でバックアップし、教員のこうした活動を支援した。後者の海外派遣は、大学が制度化しているものである。これらの体制は、教員のその後の教育研究活動に多大な貢献をしている。今後もこうした支援体制が円滑に機能し、教員がこうした制度を利用しやすいよう配慮することが望ましい。
2. 外国人教員の受け入れ体制の整備状況
 国際交流協定の締結が進むにつれ、提携大学から、短期(約1ヶ月)の客員教授、又は長期の語学教育担当教員を受け入れてきた。

 短期については、平成5年から平成7年にかけて、オート・アルザス大学から派遣されたジャック・ユレ教授、次いでグルノーブル第3大学のジャン・シャルル・ガトー名誉教授が正規の授業と一般公開講座を担当し、マルヌ・ラ・ヴァレー大学からは、ジャン・ポール・オノレ助教授が派遣され、講義および講演を担当した。

 長期の客員教員については、平成8年に、グルノーブル第3大学からクレマンス・ラロッシュ講師(1年間)、次いで、グエナエル・ガニェ講師(4年間)、平成12年には、リヨン第3大学からダビィ・デュベール講師を迎え、現在に至っている。これらの客員教員は、専攻語学の授業(会話・作文、LL教室での総合演習)を担当してきた。更に、研修旅行の引率、卒論のフランス語(フランス語による論文と要約)に関する指導、暗誦大会出場者の発音指導、フランス語同好会の顧問など、授業以外の教育・指導にも積極的に携わり、学科の教育活動の一端を担ってきた。このように、客員講師1名の招聘は継続しているが、海外からの客員教授の短期招聘は平成8年から中断している。本学の学生の学部のレベルでは外国人の客員教授の授業や講演は難しすぎるが、フランスで行われている授業の水準を教えるだけでも、教育効果はあると思われる。できれば再開するのが望ましい。
3)中国語学科
1. 国際レベルでの教育研究交流を緊密化させるための措置の適切性
 毎年秋、京都の日本学士会が主催して中国の西安で大学生の日本語弁論大会が開かれる。以前は本学中国語学科教員が審査に参加していたが、最近日本語学科教員も加わるようになった。その弁論大会での成績優秀者が翌年の春、日本を訪れ,友好関係のある大学の学生と交流する。 本学では以前は座談会を開いていたが、昨年から日本語、中国語学科から学生代表を選び、予めテーマを決めて討論し、聴衆からも意見を徴す形になった。多くの学生の活発な発言が望まれる。
2. 外国人教員の受け入れ体制の整備状況
 本学には姉妹から教員を招いて約1ケ月、研究交流したり、授業や講演をしてもらえる制度がある。これまで上海外国語大学・王徳春、北京外国語大学・李書成、西安外国語大学・郭天海、大連外国語大学・劉川平の諸先生が来校した(2002年度、天津外国語大学に派遣を要請したが、諸般の事情で未実施)。うち2先生には本学での講演原稿を本学紀要に寄稿いただいた。また共同研究の成果『中国語・中国語教育法の研究』には、特に李書成、王徳春先生にご執筆願った。学生の中国語聴き取り能力を向上させて、先生方の授業や講演を十分聴き取れるようにするのが今後の課題である。
北京外語大から2年で交代する客員教員を派遣してもらっていて、現在の侯紅玉先生は5人目である。会話、作文の授業を8コマ担当するほか、海外研修の引率、中国語研究会、弁論大会の指導などに当たっている。研究成果は本学の紀要に掲載したり、学内外の研究会で発表したりしている。授業も課外活動も全て中国語を使うが、学生には気後れしないで進んで話しかける積極性が求められる。
4)日本語学科
1. 国際レベルでの教育研究交流を緊密化させるための措置の適切性
 日本語学科設立以来、以下のような国際シンポジウム、全国大会などを開催し、国内外から著名な研究者、学者を招聘し講演等を行っている。
また日本語学科の教員も毎年のように数名が海外での同様な学会に参加し講演や研究発表を行っている。
  • 平成11年 6月:平成11年度日本語教育学会第1回研究集会
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  • 平成11年 6月:日本語学・日本語教育学研究 国際シンポジウム 
  • 平成12年10月:日本語教育学会秋季大会
  • 平成14年 4月:陝西省大学生との交流会 
  • 平成14年 5月:日中比較言語・教育法シンポジウム
  • 平成14年 6月:日本語学科講演会(南ソウル大学 安秉杰教授)
  • 平成15年 6月:陝西省大学生(日本語弁論大会優勝者)との公開討論会
  • 平成15年11月:日本語学科講演会(ブリティッシュコロンビア大学アジア研究所日本研究センター 柴田祐子研究員)
 学内の教職員、学生が国内外の多くの著名な人物に接する機会をもつことは教育上非常に望ましいことである。また同年代の外国の学生との交流も国際的な視野を醸成する上で効果をあげている。予算の許す限り国内外の教育研究交流を行ってきているが、今後、教育研究交流を一層進めるためには予算の充実を期し、国際レベルにおいて教育研究者による共同研究を行う等、交流を更に促進することが望まれる。
また、オーストラリア及び中国から特別研究員を受け入れた経験があるが、この点も毎年、海外の諸大学から、客員研究員を常時数名受け入れる体制を整えたい。
2. 外国人教員の受け入れ体制の整備状況
 日本語学科では、現在4名の米国籍の外国人教員がいる。3名は本学専任の教員(教授1名、助教授1名、講師1名)であり、1名は客員講師である。言語学、日本語教育学担当の教授1名を除く3名はいずれも、英語担当の教員である。 
本学科では、カリキュラム上必要なだけ、外国人教員を受け入れる意図はあるが、 大学全体における専任教員採用の可能性の枠との関係で自ずと学科の外国人専任教員の採用数が決まってくる。カリキュラム上で足りない部分は外国人非常勤講師を採用することにしている。
外国人教員受け入れ体制は、必要なだけは確保できているので、適切だと思われるが、専任の外国人教員の数が増えれば、もう少し余裕のある教育活動が可能となる。現在のところ、学科内のカリキュラムと大学全体の専任教員枠組みの中での体制としては必要性を満たしているということで適切であると判断される。