第1節 財政目標と対策
(4)補助金収入、事業収入の増加対策保
支出面についてこの5年間の人件費、教育研究費、管理経費の支出割合は、年度により若干の変動があるものの、基本的には大きな変化はない。ただ支出額は右肩上がりの上昇状態にあり、年々金額が増えている。したがって基礎データ表46−1に示す人件費比率、教育研究経費比率、管理経費比率は年々上昇の結果を示し、財政的な観点からは問題の多い状況となっている。
この要因として考えられることは、人件費について見れば、数年前までの本学園は2年制課程の短期大学や専門学校の占める割合が高く、平成10年度の人件費比率が示すように大学法人全国平均の比率よりも10%近く低い比率を維持することが可能であった。しかし最近の状況から名古屋外国語大学や名古屋学芸大学の4年制大学へのシフトが急速に図られ、人件費も全国平均値へ急速に近づきつつあると思われる。そのような中ではあるが人件費削減の努力も怠っていない。金額的には増加しているが、支出全体の中に占める人件費の割合はこの5年間に2〜3%減少している。終身雇用の専任職員数をできるだけ削減し、期間限定の採用や人材派遣の活用、アウトソーシングによる業務委託などにより人件費支出の弾力化を図り合理的、効果的な人件費となるよう心がけている。
教育研究経費について見れば、この5年間で7%の上昇となっている。この要因の1つは学園の魅力づくりという観点から教育サービスの充実を心がけてきたという点が挙げられる。具体的には授業を補完しより充実した教育結果が得られるための支援設備の設置や支援講座の実施である。さらに資格取得や就職活動のための支援講座の開設など幅広く教育サービスの拡充を行っている。もう一つの要因として新しい校舎の建築等施設の拡充がある。平成13年度と平成14年度にわたり5つの新しい建物が新築された。このため施設の維持管理経費が増加したこと及び減価償却費が大幅に増加したことが教育研究経費比率を押し上げている。この傾向は今後も続く予定であり教育経費の上昇は避けられないが、コストパフォーマンスの面から教育経費全体を見直す必要がある。
管理経費について見れば、この5年間で3%の上昇となっており、特に最近2年間の上昇が著しい。この要因として考えられるものは新しい大学の設置に係る設置準備経費や新大学広報のための経費が増加したことである。このような経費は本来一時的な臨時経費と考えられるのであるが、最近ではこうした企画を恒常的に行ってゆかなければ競争市場で生き残ってゆけない状況にあり、市場調査に係る経費や広報活動、学生獲得活動に係る経費について応分の予算配分をしてゆかなければならない。こうした状況下での経費削減には、業務内容の分析による要、不要の峻別、不要な仕事の切り捨て、必要な仕事について他の低コストな方法への切り替え等の対策を考える必要がある。
以上のような経費増大抑制ないしは削減対策を実効性あるものとするため、全学的な経費削減会議が設けられた。この会議には課長職以上の者が全員参加し、予算段階での目標値の設定、執行段階における業者との交渉、学園内における情報の共有の迅速化、経費削減成功例の学内公開、共同購入による単価の切り下げ等の実務対策が話し合われている。 |