第4節 学術情報基盤の整備
(3)電子図書館的機能の整備
情報のデジタル化に伴い、CD-ROMやオンライン・データベースが図書館資料としても漸次増加しつつある。中央図書館で情報サービスに利用しているデータベースは、現在のところ下表のようにCD-ROMが主でオンラインは1件だけであるが,今後はオンラインによる情報の収集、とくに電子ジャーナルの購読が必要となることが予想される。
オンライン情報資料は、レファレンスツールとしても従来のいわゆる参考図書に比べて多くの利点を有するため、その有効な利用が種々検討されている。当館が所属する私立大学図書館
タイトル |
形 態 |
備 考 |
MLA International Bibliography |
CD-ROM(逐次刊行) |
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雑誌記事索引 |
CD-ROM(逐次刊行) |
今年度で打切り予定 |
CD-HIASK |
CD-ROM(逐次刊行) |
1993-1996 |
日経テレコン21 |
オンライン |
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ENCARTA98 |
CD-ROM |
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ENCARTA World Atlas |
CD-ROM |
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Grolier Multimedia Encyclopedia |
CD-ROM |
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平凡社世界大百科事典 |
CD-ROM |
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The Oxford English Dictionary (OED) |
CD-ROM |
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Le Grand Robert |
CD-ROM |
フランス語 |
スーパー大辞林 |
CD-ROM |
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広辞苑 |
CD-ROM |
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リーダーズ プラス |
CD-ROM |
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日本大百科全書 |
CD-ROM |
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Chronicle 20th Century |
CD-ROM |
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Encyclopedia Universalis |
CD-ROM |
フランス語 |
Merriam Webster's Collegiate Dictionary |
CD-ROM |
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Britannica '97 |
CD-ROM |
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協会の西地区部会東海地区協議会では、昨年度の研究会においてオンラインレファレンスの有効性の検証を行い、それを基に今年度は情報サービスに利用できるレファレンスデータベースの共同構築に取り組んでおり、当館からも1名が参加してこれに協力している。
しかしながら、学術雑誌の電子ジャーナル化は、当初の予想に反して価格の著しい高騰となり、大学図書館の経営に重圧をもたらすことになった。それ故、各館では経費節減のために購読の中止や共同購入方式等の検討を余儀なくされ、東海地区協議会においてもそれが共同の課題として取り上げられるに至っている。一方、私立大学図書館協会の主要8大学は、私立大学図書館コンソーシアム(PULC)を形成して、大手海外出版社5社との間の価格交渉等を進め、他の加盟館にもこのコンソーシアムへの参加を呼びかけている。
しかし他方において、ここ数年来のたゆまない努力により電子ジャーナルの価格協議等に一定の成果を上げた国立大学図書館協議会では、大手海外出版社の市場寡占化に対抗するこのような集団的価格交渉では雑誌価格の高騰を止めることはできないとして、今年秋に国際学術情報流通基盤整備事業(SPARC/JAPAN)の支援へと方向を転換したことに注目しなければならない。この事業は、2002年3月に公表された科学技術・学術審議会のワーキンググループによる「学術情報の流通基盤の充実について(審議のまとめ)」の提言に基づき、国立情報学研究所が米国、欧州のSPARCと協力して推進するもので、学術文献の刊行を商業出版社に委ねず、研究者の属する大学や学協会自らが行うことにより、学術情報の電子化・国際化を促進し研究成果の一層の普及を図ることを目的としており、大学図書館としてもその成果が待たれるものである。
また、各大学が発信する各種研究及び研究成果情報の総合目録データベースの形成を支援するために国立情報学研究所が2002年度から開始したメタデータ・データベース共同構築事業は、2003年3月現在、すでに全国196の大学・研究機関がこれに参加している。その窓口は各大学図書館とされているが、当館では本年7月の評議会にこれを説明して、その推進方について了承を得たところであり、今後関係部署との連携・協力の下にこれを進めて行くことになっている。当館では、まず、紀要の論文情報をデータベース化して公開することを支援する同研究所の研究紀要ポータルデータ登録システムに参加すべく、紀要委員会との折衝を始めている。
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