第1節 大学における学生の受け入れ
(3)入学者選抜の仕組み
1)入学者選抜試験実施体制
学生募集ならびに入学者の決定に係るすべての事項(学生募集要項、入学試験問題作成、入学試験実施、合格者判定、入学手続、学生募集に係る広報等)について、入学試験委員会(以下「入試委員会」という)が審議、決定し、学部教授会の承認を得ている。入試広報課は入試委員会の事務を担当するとともに入試ならびに広報活動の実質的な部署として業務を担当している。
入試委員会は、学長・副学長・学部長・研究科長・学科長・総合教養主任・国際経営学部英語教育担当主任・国際経営学部教授3名・大学院担当教授2名・教務部長・学生部長・国際交流部長を委員として構成している。
入学試験問題の作成については、入試委員会のなかに学力検査委員会を設け、学長が委嘱した教員が委員として担当している。
入試委員会および学力検査委員会の事務は、入試広報課が担当している。
入試および広報については、入試委員会が統括しているが、学生募集要項の決定、合格者の判定、入試問題の作成等入学試験の根幹および教員の参画する募集活動以外については、入試広報課が主となり教職員の協力のもと円滑な企画運営がされている。
1. 学生募集要項
学生募集要項の決定にあたっては、4月中旬には募集要項を公表し、募集活動が開始されるため、数度の入試委員会を開催し、3月中旬には入試委員会で決定し、教授会の承認は4月となっている。募集要項の審議にあたっては、各種入学試験の合否判定の度に開かれる委員会における議論・意見および本学への入学志願状況ならびに他大学の動向等をふまえて入試広報課が、各試験の募集人員および入学予定数・入試日程・選考方法等の原案を作成し、その募集要項原案に基づき委員会で審議し決定している。指定校推薦については、高等学校の指定および成績基準・学科・人員の決定は、過去数年間の入学試験の実績を基礎に入学試験委員の代表と入試広報課で原案を作成し、入学試験委員会で審議し決定している。
2. 入学試験実施
入学試験の実施についての教員と事務職員および入試広報課との業務分担は次のとおりである。入学試験日の役割分担は、入試広報課が作成し、学長・副学長・学部長の了承の上、決定している。役割作成にあたっては、全教職員が担当することを原則に、全体的な管理は、学長・副学長・学部長・事務局長等により組織される実施本部が担当し、試験監督・面接・記述解答の採点については教員が担当し、監督補助・受験生の誘導・試験場の警備等は事務職員が担当し、全体的な運営およびマーク解答の採点は入試広報課が担当している。
受験上、特別措置が必要な場合については、入試委員会の決済に基づき、別室受験・試験時間の延長・試験室内の座席位置・付き添い者の隣室待機等個々の受験生の様態に応じて対応している。
3. 合格者判定
指定校推薦入学、公募推薦入学、試験入学I期・II期およびセンター利用及び海外帰国生徒特別選抜の合格者判定は、入学試験委員の代表および入試広報課が合格者原案を作成し、入試委員会において審議のうえ決定している。
外国人留学生特別選抜および3年次編入学試験の合格者判定は、学力検査採点担当教員および面接担当教員ならびに学長・副学長・学部長等により合格者原案が審議され、入試委員会において審議のうえ決定している。
以上のとおり、本学の入試実施体制は、組織および協力体制等概ね適切であると考えられる。更に、教員の広報活動参加についても非常に協力的かつ熱心であり、入試・広報全般に渡り良好な協力体制であるといえる。
2)入学者選抜基準の透明性
以下のような取扱をする旨、受験生および高校には事前に周知し、更に試験入試I期・II期については各受験生の得点を高等学校に通知し、透明性の確保に努めている。
1. 指定校推薦入学
指定校として推薦を依頼している高校は、愛知県・岐阜県・三重県・静岡県・長野県・ 富山県・石川県・福井県の受験実績のある高校である。
推薦基準は、高校毎に、過去の入学者の在学成績、受験者の入試成績等により毎年見直しをし、学力検査を免除し面接のみの選考で入学許可ができる成績を算定し、これを基礎として英語および成績全体の評定平均値に基準を設けるとともに、学科と推薦人員を指定して依頼している。なお、出席状況、課外活動、資格取得状況についての基準は、本学としては設けず各高等学校内の判断にゆだねている。
推薦基準および人員について高校からの様々な要望がよせられるが、年度の途中での変更はしないこととしている。
推薦基準を満たした者については合格とすることを原則としており、かかる意味においては、合格判定の透明性の確保は保証されるが、志願者数即ち入学者数が年により学科により変動することに指定校推薦の問題点がある。従って、推薦基準および人員の決定には大きな困難が伴うが、試験入学を含む過去の入試データの詳細な検証により毎年推薦基準および人員の見直しをし、定員管理に努めている。
2. 公募推薦入学
高校格差が厳然としてあり、調査書を一律評価する基準がない現状において、公平な判定をするためには、学部の特性からも英語および国語について適性検査として課すことが必要であると判断している。面接は、特に入学に適さない者の判定に資するに留めている。調査書は、全体の成績と英語の評定値を点数化し、適性検査の結果に加算している。点数化については、適性検査を重視し、適性検査(英語):適性検査(国語):調査書=3:2:1としており、入学者数が所定の人員を超過しないよう歩留りを勘案し、合否判定している。なお、人員確保を最優先するのではなく、学力レベルの保持にも配慮しているため、適性検査等の結果によっては、推薦入学枠に対する必要合格者数を下回る合格者数とすることもある。これによる欠員については、試験入学等で確保するという方針をとっている。
推薦入学で学力検査を実施しているという批判は免れないが、本学が外国語教育に特色のある大学として発展して行くためには適切な方法と考えており、高等学校においても同様の認識を持っており、むしろ評価されているため、当面、この方法で募集していく考えである。
3. 試験入学I期・II期
I期においては、調査書は判定資料とはせず、試験日の複数化による試験日自由選択制および3科目と2科目の科目型選択制を導入しているため、合否判定は、各試験日および試験科目ごとに偏差値を算出し、得点調整し、3科目型と2科目型それぞれで判定し、公平性を保持している。3科目型と2科目型では志願者数が異なるとともに歩留りも異なるため、募集人員が同じであっても合格者数に差が生じるのが通例である。両科目型の下位の合格者の学力に極端な格差が生じる場合には若干の調整をすることになっているが、これまで調整をしたことはなく、入学者の学力は、ほぼ同程度であると判断している。
試験入学I期については、3科目、2科目いずれがより優れているか、あるいは更に多くの科目を課すほうが望ましいのか、種々議論のあるところであるが、3科目と2科目が選択受験できるI期により、学生確保の中心的な入試として多くの志願者を集めながら、十分な英語力を有しながら総合的な学力を有する者を選抜していることは、本学の教育の理念に合致しているといえる。II期については、2科目としているが、I期と異なり国語に記述解答を導入しているため、多様な観点から受験生の能力評価ができているといえる。
また、受験生の出身高等学校には、選考結果とともに学力検査の結果について偏差値で通知している。
4. センター利用入試
理科を除く全ての科目を利用し、科目ごとの受験生平均点には毎年格差が生じるが、得点調整することなく素点を合計し、合否判定においては、所謂歩留りでななく、入学に適する基準点を設定して、合否判定している。選択科目においては、国語のIとI・IIあるいは地歴のAとBなど高校の履修状況により科目を指定することは募集要項上規定していないが、調査書から判断する限り、ほぼ高校の履修状況通りに選択している。
センター利用入試では個別学力検査を課していないが、選抜方法よび判定基準とも適切であり、入学後の成績調査等によれば、成績上位者が多く、むしろ合格者数をより多くすることができるよう検討が必要である。
5. 帰国生徒特別選抜
本学では、海外経験の豊富な者については、可能な限り積極的に受入れて行く方針であるため、特に優秀な者の選抜という観点ではなく、授業への基礎的な対応能力の判定に視点を置き判定している。
帰国生徒特別選抜の問題点は、出願資格を緩和しており、厳密な意味での帰国子女から1年間の単身留学まで幅広く募集対象としている。帰国生徒の海外経験ならびに学習経歴は非常に多様であり、帰国生徒特別選抜という単一な試験において全ての志願者を相対的に評価し、合否を判定するのは困難が伴うので、志願者一人ひとりに対応した判定が必要である。大学の特色からすれば、留学経験者と帰国子女とを区別した入試を創設するなど今後の工夫が必要と思われる。また、帰国生徒の受け入れについては、選抜方法のみならず、入学後の指導体制の整備状況が判定基準に大きく影響をあたえている。
以上のように、帰国生徒特別選抜において一部課題を残すものの、全体的に入学者選抜基準をみれば、公正な選抜がされているといえる。 |