第1節 大学における学生の受け入れ
(2)入学者受け入れ方針等
本学では大学および学部の理念に基づき、外国語はもとより国際社会への高い関心を持ち、国際社会の発展に寄与することに強い意欲を有する者を入学者として受け入れて行くことを基本方針としている。
入学者の高校における英語の学習状況の把握は、英語を専門とする英米語学科、英語を副専攻とする日本語学科、英語で国際経営・国際会計・国際関係等を学ぶ国際経営学科においては特に必要であるが、フランス語学科および中国語学科においてもフランス語あるいは中国語への適性を判定するとともに、多くの学生が英語を副専攻語として選択しており、英語コミュニケーション能力の向上を図る上で入学者の英語能力を知ることは重要である。更に,国語については、文学作品の鑑賞理解という観点ではなく、本学入学後、様々な分野について自ら考え判断しながら学んで行く能力の判定という観点から英語と同様に重視している。また、外国語教育は、外国語の運用能力の向上にのみその目的を置くものではなく、異文化への深い理解ならびに修得した外国語を活用する分野をいかに深く広く獲得するかが大きな課題であるとともに、国際社会において尊敬され得る人格の形成が最大の目標である。かかる国際人としての人格の萌芽を発見し入学者とすることが最も重要である。従って、英語・国語以外の教科とりわけ地理歴史・公民についても、外国語学習者にとっては不可欠な分野であり、数理的な能力も外国語の修得に相関関係が強いものであることは周知のとおりである。
従って、英語の能力の高い者を入学者として確保することは重要ではあるが、英語の学力のみによって判定するのではなく、英語に重点を置きながらも、入学後の伸展の芽を看過しないよう総合的に判定している。
次に、外国語に堪能で国際社会において活躍する人材の育成のために、外国語学部のカリキュラムは、専攻言語の運用能力の獲得と専攻言語そのもの研究および専攻言語圏の政治・経済・歴史・地理・社会・文化等全般を研究するよう編成されており、国際経営学部では、外国語学部英米語学科と同等の英語のコミュニケーション能力の獲得と英語を活かして国際経営・国際会計・国際関係等を研究するよう編成されている。このカリキュラムの編成方針は入学者の受け入れ方針とあいまって、卒業論文や卒業研究において、外国語の能力を生かして、人文科学・社会科学の幅広い分野から多様なテーマに取り組むなど成果をあげている。
従って、入学者の選抜において、外国語への適性のみならず現代の国際情勢をはじめわが国および世界の国や地域についての知識を調べることもカリキュラムとの関係において非常に重要である。しかしながら、国際化の進展とともに、外国語に関心を持つ高校生が増加していることは好ましいことてはあるが、一方では、外国語とりわけ英語にしか関心を示さない高校生も増えており、高等学校の教育課程における国語、地理歴史、公民等にまったく関心がもてないまま本学を志願するものも増えている。外国語の習得と国際社会への理解の深化および参加意識の涵養は、入学試験に英語のほか日本史・世界史等を課すことのみでは、高等学校から大学への連係が十分はかられるとは言い難く、入学前教育の重要性が今後ますます大きくなることが予想され、その体制の整備も急がれるところである。
入学後の成績は、概ねセンター利用入試の入学生は上位となり、次に指定校推薦入学者となり、公募推薦入学者、試験I期およびII期入学者は際立った傾向は示していない。入学試験のわずかな得点差は入学後の教育効果に大きな影響はなく、むしろ学生個々の努力にかかるところが大きいと考えられる。また、卒業生の就職先での評価を勘案すれば、概ね入学者受け入れ方針と入学者選抜方法とは適正に機能しているといえる。
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