自己点検・評価

自己点検・評価インデックス>>第3章第2節(15)教育改善への組織的な取り組み

教育研究の内容・方法と条件整備

第2節 国際経営学部

(15)教育改善への組織的な取り組み

1)学生の学修の活発化と教員の教育指導方法の改善を促進するための措置
1. 授業改善を目的とするFD活動
 当該項目を広い意味でのFD活動と考えるならば、それにはシラバスの整備、狭義のFD(授業改善)、学生の授業評価などが考えられるだろうし、そうした活動を促すための組織的取組も対象になろう。

 シラバスについてはすでに外国語学部の当該項目部分で全学的なそれへの取り組みについて述べられているので、ここでは省略し、それ以外の点について述べることにする。

 本学の教育活動の改善を促すための組織、所謂学長を委員長とする全学FD委員会が2001年度(平成12年度)に設けられ、その下で本学のFD活動は進められることになった。

 既に2000年度も実施されていたが2002年度にもあらためて、専任及び兼任教員全員を対象として、「学生の受講態度に関するアンケート」を行い、本学の学生の学習に対する態度を調査した。これらの点については既に外国語学部当該項目で記述されているので、ここでは省略する。本学部としては現在のところ、独自のFD委員会を設けるには至っていないが、学生の学修の活性化と教員の教育指導方法の改善促進のための方策として次のような取り組みを行っている。

 学部国際交流委員会主催により毎月1回のランチョン・ミーティングを行ってきた。英語教育のあり方についての議論から始まり、最近では本学の教育全体の検討にまで及んでいる。また、毎年1回、学部長と専門ゼミナール(3年生)代表者との懇談会が行われ、学生生活だけでなくカリキュラム内容、授業内容に関しても学生からの意見や質問を聴き、その内容を各委員会へおろし、委員会からの回答を集約し学部長名で回答を行うという形で学生へのフィードバックを行っている。これは同時に、教員にとっても教育指導方法の点検にもなり、教育指導方法の改善に資している。
次に、英語教育チームは毎年、英語教育に関する授業評価アンケートを毎年実施している。この結果と普段の授業状況を踏まえ、毎月2回、場合によっては週に1回ミーティングを行い、教育上の問題点を改善すべく努めている。

 また、科目「海外研修」の参加学生には毎回研修レポートを提出させているが、その中で研修プログラムへの意見を述べる項目も設けている。従って、このレポートによって海外研修の授業評価がなされているといっても良い。
2. 点検評価と改善の方策
 何よりもまず本学全体のFD委員会の取り組みが不明確である。FD委員会からの提案として出されたものはほとんどない。従って、本学が全体としてどのような学修の活性化と授業改善に取り組んでいくのか、その方向性が出されていないと言わざるを得ない。

 次に学部としてもFD活動は低調である。国際交流委員会主催のランチ・オン・ミーティングは、それ自体、参加者にとっては様々な観点を学ぶ上で有意義であるが、しかし参加者数自体がそれほど多くなく、しかもその成果は必ずしも学部全体に共有されているとも言えない。

 英語教育チームの授業評価アンケートについては、現在のところ英語教育チーム内での検討の材料とされるにとどまっており、これも学部全体の共有財産となっていない。学部全体としての授業評価への取り組みは現在なされておらず、英語科目以外の授業評価は各教員の自主性に委ねられている。

 海外研修レポートは実際に研修内容の改善に役立てられている。昨年度のレポートに基づき、研修最終週でのインターンシップ内容の改善が図られた、などはその実例である。

 改善の方策としては、やはりFDに対する学部としての意思の統一が図られなければならないだろう。組織としてどうするかという以前に、学生の学修の活発化、授業の改善が不可欠であるということの確認がなされなければならない。
2)シラバスの適切性
 本学部のシラバスについては、既に外国語学部の当該項目で説明されおり、同様の内容であるため、ここでは省略する。
3)学生による授業評価の導入状況
 これについては既に上でも触れたが、学生による授業評価アンケートは学部としては現在のところ実施していない。ただこの種のものとしては本学部では、英語教育チームよるものがある。英語教育チームは、英語教育に関する授業評価アンケートを毎年実施し、この結果と普段の授業状況を踏まえ、毎月2回、場合によっては週に1回ミーティングを行い、教育上の問題点を改善すべく努めている。

 この英語教育チームによる授業評価アンケートは、学部として授業評価アンケートを実施していないだけに貴重なものであるが、ただこの授業評価の内容が学部レベルで公開されたことは1回だけであり、かつ英語教育全体への評価パーセントだけであった。その意味で、学部の共有財産となっているとは言い難い。

 各教員によっては授業評価アンケートを実施している場合がある。こうした個々の教員による授業評価アンケートも、学部のレベルで公表されることはないため、あくまで教員個人の授業方法改善のための資料となっているにとどまっている。またどれだけの数の教員が授業評価アンケートを実施しているか、数量的な把握もまだできていない。

 また、海外研修に関しては、参加学生は帰国後、英文による研修レポートを提出することが義務づけられており、その中で参加した授業についての意見・感想をも書くこととなっており、海外研修の授業内容改善のための重要な資料となっている。海外研修レポートは研修内容改善のために実際に利用されており、その意味で有益であり、今後とも続ける必要があるだろう。

 更に、学生全員が対象となってはいないが、毎年実施されている学部長と専門ゼミナール代表者との懇談会は、学生による授業評価を聞く機会になっている。この懇談会の対象学年は現在のところ3年生に留まっており、また、あくまでもゼミ代表者との懇談会であるので、その意味では全学生の意見が聞けているとは言い難く、数量化されてはいない評価しか聞けないという問題点もある。ただ、ゼミナール代表者は、各ゼミナールでの検討を踏まえて出席しており、かつ3年次生ということで、2年以上受けてきた本学部の授業内容についての意見を聞くことはできている。かつ、この懇談会において出た問題点は当該部署の検討を経て、学部長名による文書によって学生にフィードバックされることになっている。その意味では、学生との信頼関係を醸成するうえで大きな役割を果たしているといえる。

 こうした現状を踏まえた上で、本学部として授業評価アンケートを行うべきか否かの検討を行う必要があろう。その際には、アンケートが本当に必要なのかどうか、実施するとすればどのような体制で行うべきか、またその結果の扱いはどうすべきか、といった点がきちんと検討されねばならない。その検討のためにも、これまでの英語教育チームでのアンケート実施の経験、あるいは各教員によるアンケート実施の経験が集約されねばならないだろう。

 学部長と学生との懇談会は有益であるので継続する必要があるだろうが、3年次生との懇談だけでいいのか、新入生の希望を聞いてそれをただちに授業内容に反映させられないかを検討する必要ある。3年次生後半に懇談会を行った場合、学生としてはすでに重要な科目はほとんど履修し終えたか、履修中ということで、今後の改善から自らは利益を受けることはないという意味で、一種外野席にいるような感覚を持つこともありうる。従って、意見を述べそれが自分の学修上の利益となって反映されるという感覚を学生が持つためには、早期の意見聴取も必要となるかもしれない。
いずれにせよ、2004年度から現代国際学部という形で新学部が発足する以上、これまで以上にこの新しい学部の教育を学生がどのように評価しているかをできるだけ早急にかつ正確に把握し、新しい学部づくりに役立てるようにしなければならない。そのための条件整備・組織づくりも急がれるところである。