第2節 国際経営学部
(12)教育方法とその改善
1)教育効果の測定
1. 総論─教育効果測定のための分類軸とシステム化の必要
教育効果の測定にはいくつかの分類軸が考えられる。一つは教育の範囲によるものである。個々の授業、カリキュラム上の科目系列、学部、そして大学全体と分けることができる。二つ目は客観的な教育効果と主観的な教育効果という分類である。
客観的な教育効果は、個々の科目の定期試験の成績から始まり資格試験の合格率や就職率などに至るものである。主観的な教育効果としては、授業に対する学生の満足度などが挙げられよう。ただ注意しておかねばならないのは、この主観的効果に、教員の視点を混入させないことである。教員が自らの教育効果を高く評価しても、学生の側のその教育に対する主観的な評価が異なることはありうるからである。三つ目の分類としては、数値化できる教育効果(量的教育効果とでも呼べよう)とそれが不可能なもの(質的教育効果とでも呼べよう)がある。
大学教育という限られた場・時間での学生と教員、両者の出会いのもたらしたものをそもそも数値化するのが困難な場合はいくらでもある。但し、この質的教育効果の測定は教員の側から提示するのはほとんど不可能である。なんらかの形で(たとえばこの自己点検評価文書において)提示しようとしたとたんにそれは主観的なものにあるいはもっと極端に言えば自己満足に終わってしまう危険があるからである。従って、教育効果の測定をそれこそ客観的に提示するためには、個々の領域をきちんと区分した上で、数値化しうる主観的な効果と客観的な効果を測る作業が行われなければならない。
こうした教育効果測定の方法を教員間の合意のもとにシステム的に構築することを、本学部が行っているとは、現在の時点では言い難い。但し、個々の測定については必要な場面で報告・討論がなされるようには努められている。例えば、本学部全体の教育効果を測る上で重要な指標の一つである就職率については、毎月の教授会で必ずそれまでの数値が就職委員会から報告され、学生の就職活動に対し、教員がより注意を喚起するよう努められている。
本学部の専門ゼミナール指導教員が学生の就職活動支援に積極的であるのもこうした努力とは無縁ではない。或いはこれも当然のことであるが、学生の休学・退学状況について、毎月、教務委員会・教授会で報告がなされ、それに基づき、学生の学修状況・学生生活への本学部としての配慮が適切であるかどうかが検討されている。このように本学部における、個々の場面での教育効果の測定の多くは妥当だと考えられるが(もちろんなお不十分な点は後述のようにある)、しかし何よりも、上述したように、全教員の合意のもとに教育効果測定の方法をシステムとして構築する作業はいまだ不十分であるといわねばならない。教育効果測定に関して、新設の現代国際学部において果たされるべき最大の課題は、このシステム構築であろう。
2. 卒業生の進路状況
本学部の進路希望状況は以下の表の通りである。
国-別表 本学部学生の進路希望状況 2002年度(平成14年度)(2003年3月31日現在)
|
就職 |
進学 |
専門 |
留学 |
家業 |
家庭 |
その他 |
合計 |
男子 |
52 |
4 |
3 |
1 |
1 |
|
10 |
71 |
女子 |
92 |
2 |
3 |
2 |
|
2 |
16 |
117 |
計 |
144 |
6 |
6 |
3 |
1 |
2 |
26 |
188 |
別表に見るごとく、本学部での就職希望者は卒業予定者188名中144名、就職希望率は76.6%である。前年2001年度(平成13年度)は卒業予定者233名中、就職希望者は181名、就職希望率は77.7%と若干の増加傾向を示している。これは全国的な傾向と軌をいつにしている。問題は
26名のその他という進路先が明確になっていない学生であろう。こうした学生たちの進路目標を明確にさせるよう進路指導を学部として考えていかねばならないだろうと思われる。
次に就職希望者の就職状況は以下の別表の通りである。
国-別表 本学部学生の就職状況 2002年度(平成14年度)(2003年3月31日現在)
|
卒業予定者数 |
就職希望者数 |
内定者数 |
内定率(%) |
未内定者 |
男子 |
71 |
52 |
50 |
96.2 |
2 |
女子 |
117 |
92 |
89 |
96.7 |
3 |
計 |
188 |
144 |
139 |
96.5 |
5 |
就職希望者の就職内定率が男女合計の96.5%という数字は、現下の厳しい就職状況の中比較的良好な数字であるといえよう。本学部のこうした数字を支えているのはやはり、専門ゼミナールの体制だと思われる。3年次・4年次の2年間の一環指導を行うこと、ことに3年次後半から4年次へと年次をまたがっても同じ教員の指導の下にあるということは学生にとっては非常に心強いものがある。また本学部の教員のゼミ生に対する就職指導は極めて熱心であり、こうしたカリキュラムと教員個々の努力とがこの良好な就職率をもたらしているということができる。新設される現代国際学部においても継続維持されるべきであろう。
|