第2節 国際経営学部
(9)単位互換/単位認定
1)国内の大学
すでに、外国語学部の項で述べたように、2002年度から愛知県下45大学が参加する「愛知学長懇話会による単位互換制度」が発足し、本学もこれに参加している。本学の学生が他大学の授業を受講する場合の資格は、2年生以上で毎期3科目6単位以内とし、最大12単位までを他大学単位互換科目A(本学の共通科目に属する科目)または他大学単位互換科目B(専門科目に属する科目)としている。
他方、本学の側もこの協定に基づき他大学学生に一部の科目を開講している。本学部では「アジア事情2」を開講している。
参加学生については別表5・6に示す通りである。
国-別表5 他大学学生の本学授業科目受講者数(2002年度・2003年度)
2002年度(平成14年度) |
2003年度(平成15年度) |
1期 |
2期 |
1期 |
2期 |
0名 |
1大学4名 |
1大学1名 |
3大学4名 |
国-別表6 本学学生の他大学授業科目受講者数
2002年度(平成14年度) |
2003年度(平成15年度) |
1期 |
2期 |
1期 |
2期 |
1大学3名 |
1大学2名 |
4大学5名 |
1大学2名 |
この現状と点検評価については、すでに外国語学部の項で述べられているので、ここでは省略する。
2)国外の大学
1. 国際交流協定に基づく留学─交換留学の現状
本学は2003年5月現在、国外の40大学と国際交流協定を締結しており、そのうち、実際に学生の交換を実施している大学は28大学である。
国際交流協定に基づく留学(本学では交換留学と呼ぶ)については、詳細は外国語学部の項目ですでに述べたところであるので、ここでは国際経営学部にかかわる部分だけ述べることにする。
留学時の単位認定については国際経営学部では一括認定と個別認定の組み合わせで行っている。即ち、専攻語学を中心に一括認定し、一部専門科目については個別認定を行っている。この認定に際しては必要書類を提出のうえ、教務委員会で審査を経た後、教授会で承認を得る手続きを取っている。国際経営学部の交換留学生数は2002年度では1年留学・半年留学をあわせ9名となっている。派遣の学年は主に3年生、少数の4年生からなっている。
国際交流協定に基づく海外からの留学生は日本語教育センターの学生として本学に受け入れているため、本学部が全面的にこうした留学生の学習の場となるということは現時点では生じていない。ただ、個別には留学生が興味を持った科目の授業に受け入れることはあり、それが学部学生にとっても刺激となっているのは事実である。
2. 認定留学
本学認定留学制度についてはすでにこれも外国語学部の項目で述べられているので、本学部に関連した事柄だけをここでは述べる。
本学部からの認定留学は2002年度まではごく少数であったが、2003年度は10名にのぼった。今後も、同数程度の学生がこの制度を用いて留学することになるだろうと予想される。こうした現状で、検討すべき課題もある。
一つは学生の英語力の問題である。交換留学にせよ認定留学にせよ、本学部学生の留学先は当然英語圏ということになる。その意味で一番に問題となるのは、海外の大学で学習するために必要な英語力ということになる。とりわけ交流協定に基づく留学先の大学からはTOEFLの点数を要求されることが多い。
具体的には500点を要求されることが多い。しかし現実には、本学部学生でTOEFL500点を有する学生は極めてまれである。そのため、実質的には交換留学においても当初は留学先大学の英語学習コース(一般的にESL=English
as a Second Languageコース)に入り、然るべき英語教育を受け、その後ようやく正規の授業を受けることができるという場合が殆どである。できれば当初から正規の授業を受けることができるほどのTOEFL高得点を多くの学生が取れるよう、英語教育を構築していることが考えられねばならない。
既に国際経営学部でも2003年度より、TOEFLの集団テスト(ITPテスト)を導入し、1年生は必ず受験しなければならないものとしている。新設の現代国際学部においてもこの制度は継続する予定である。そのため、新設の現代国際学部では、TOEFL及び社会人として重視されている
TOEICテストを視野に入れた科目を設置することにした。
また、カリキュラムにTOEFL・TOEICに関する科目を導入し、所要の点数を取得すれば卒業単位に認定する制度も導入した。更に交換・認定以外にもインターンシップ・ボランティア等を含む3ヵ月程度の中期留学制度も導入し、多様な海外留学の可能性を学生に提供する予定である。 新設の現代国際学部のカリキュラムが従来の国際経営学部とは異なる以上、現代国際学部のカリキュラムに対応する内容を持つ大学との提携を結ぶことが今後必要となるだろう。
これ以外に指摘しておかねばならないのは、私費による海外留学の増加である。3年次乃至4年次になるときに休学し、卒業を1年延ばした上で、休学期間に海外留学を行う学生が激増している。これは勿論、自らの英語力を伸ばしたいが、交換乃至認定留学が可能なほどTOEFLの点数が達していないため、まず海外の語学学校で英語の学習を行うという意図がある。
但し、こうした語学留学だけでなく、ワーキングホリディやボランティア留学なども最近は増えてきていることに留意する必要がある。いわば海外留学が多様化しているのであり、しかもその期間は休学中であるから直接には大学と連絡をとらない。ケアがしにくい状況になっているのである。本学部ではゼミナール制度によりクラスアドバイザー制が確立しており、そうした状況でもかなりの学生がゼミナール担当教員と連絡を取り合っている。その意味では、ケアが行える状況にはなっている。やはり教員個人の善意でケアを行うというよりも、大学として休学中に海外留学する学生をしっかり把握しそのケアを行えるようになっている体制づくりを急ぐ必要があるように思われる。
3. 入学前の既修得単位の認定
これについては、国際経営学部は外国語学部とまったく同様の制度をもっているので、ここでは省略する。
4. 検定試験の単位認定
この制度も基本的には全学共通であり、詳細は外国語学部での既述に譲る。ただ、国際経営学部の検定試験による単位認定に問題がないわけではない。ひとつは英語分野の検定試験単位認定対象として「英検2級」に2単位が認定されるとされていることである。
これは外国語大学の英語能力の基準からして単位認定すべき対象としてはレベルが低いのではないか、という議論があり、現代国際学部では、廃止する予定である。もう一つは、簿記・会計・情報処理に関する検定試験の単位認定の実情である。簿記・会計に関しては「日本商工会議所簿記1級」「同2級」「全国経理学校協会簿記能力1級」の試験がそれぞれ認定対象となっている。その他、「税理士試験」「公認会計士2級試験」も認定対象となっているが、実際には、本学部で2002年度(平成14年度)にこれらの試験で合格した者は、「日本商工会議所2級」の9名にすぎない。その他はすべてゼロであり実質的に有名無実化している。また情報処理に関する検定試験としては「テクニカルエンジニア試験」「ソフトウェア開発技術者試験」「初級シスアド試験」「基本情報技術者試験」があるが、ここでも2002年度に本学部学生として合格し単位認定を受けた者は「初級シスアド試験」のわずか1名のみである。ここでもこれらの検定試験がほとんど有名無実化しているのである。
従って、こうした検定試験を単位認定の対象とし、本学部の学生に受験を勧めるのであるならば、それなりに対策を学部としても講じなければならないだろう。しかし、実際には、ほとんど、本学の資格支援室が課外授業として開いている各種の資格講座の受講によって学生は受験対策をしているにとどまっている。しかもこうした資格講座と学部との間にはほとんど連繋が取れていないのが現状である。
新設の現代国際学部においてもこの問題は残る恐れがある。TOEFL・TOEICに関しては上述のように学部カリキュラムにそれを取り込み受験を学生に勧める体制を整えているが、その他の各種資格試験については目立った改革が未だ行われていない。早急な検討が必要であろう。
5. 卒業所要総単位数中自大学・学部・学科等による認定単位数の割合
認定単位数の割合は外国語学部と同様であるため、ここでは省略する。
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