2018年11月28日(水)13:20から、本学図書館5階、多目的室にて、講演会「プルーストの『失われた時を求めて』―主人公<私>の無名性説をめぐって」を開催しました。小説の主人公の呼び名に関する解釈を大きなテーマとして、「私」とは、そして物語の主人公について、外国語学部フランス語学科 林良児先生が講演されました。
当日は、19名の一般参加の方を含む、計78名の方にご参加いただきました。
当日は、19名の一般参加の方を含む、計78名の方にご参加いただきました。
開催のご報告
参加した方からのご感想
林良児教授
(外国語学部フランス語学科)
「この講演会に合わせて『失われた時を求めて』を読み始め、未だ初めの数ページほどしか読み進められていませんが、もっと先を知りたくなる講演でした。音楽や美術とはまた異なり、「ことば」にはある程度確実に人々が同じものを共有できるところが一つ特徴かと考えますが、しかし人々は語の裏側にいつも思考を隠し持っていて、それは決して、一重には同じものと言えない、ことばの奥深さ、ことばの芸術・表現の懐の深さを感じさせられました。」
「林先生のお話の途中、ところどころにご自身のお話があり、プルーストに対する愛を感じました。先生がこれまでに研究してきたプルーストの無名説という大きなテーマですが、作者の描いた文、そのもの原文のまた楽しむということ、読者としての楽しみ方をご教示いただきました。」
「『失われた時を求めて』で、主人公としての私として読むか、語り手としての私として読むか、マルセルとして読むか、いろんな読み方や感じ方があります。絵画の授業で、1つの絵にもいろんな人のいろんな見方や感じ方があるということを学んだので、それと同じように文学でも、様々な見方があるのだと分かりました。また、作者にとって未完であっても、読み手や批評家にとってはそれがすべてなので、ありのままを受け入れてありのままを読み感じることが大切であると分かりました。」
講演の様子
会場の様子
「今回の講演を聞き、自分とはなにかと考えました。他人がいなければ私という人称代名詞はなく、今回の講演を聞き、私自身のことを考えるきっかけになったとともに、周りの人を考える機会にもなりました。」
開催案内
2018年11月28日(水)13:20から、本学図書館5階、多目的室におきまして、講演会「プルーストの『失われた時を求めて』―主人公<私>の無名性説をめぐって」を開催します。
現代文学の分水嶺と称されるこの小説の主人公の呼び名については、「物語の語り手」、「語り手の私」、「物語の主人公」、「主人公の私」、「マルセル」など、研究者のあいだで解釈が二つに分かれている。すなわち、「マルセル」と、それ以外の無名の「私」とである。「私」にはマルセルという名前があるのだろうか?それとも、「私」は無名なのだろうか?『失われた時を求めて』の読者が、「長いあいだ、私は早く床に就いた」というこの作品の冒頭の一文から直面する「私」の呼称の問題について考えます。
この講演会は「世界の文豪シリーズ」の第3回です。下記の通り全5回開催が予定されています。
どなたでも参加できます。ぜひご参加ください。
現代文学の分水嶺と称されるこの小説の主人公の呼び名については、「物語の語り手」、「語り手の私」、「物語の主人公」、「主人公の私」、「マルセル」など、研究者のあいだで解釈が二つに分かれている。すなわち、「マルセル」と、それ以外の無名の「私」とである。「私」にはマルセルという名前があるのだろうか?それとも、「私」は無名なのだろうか?『失われた時を求めて』の読者が、「長いあいだ、私は早く床に就いた」というこの作品の冒頭の一文から直面する「私」の呼称の問題について考えます。
この講演会は「世界の文豪シリーズ」の第3回です。下記の通り全5回開催が予定されています。
どなたでも参加できます。ぜひご参加ください。
世界の文豪シリーズ
2018年8月現在
開催日程 | テーマ(作家) | 講演者 | |
第1回 | 6月27日(水) | ナボコフ | 諫早勇一(世界教養学科 教授) |
第2回 | 10月24日(水) | ディケンズ | 甲斐清高(英米語学科 准教授) |
第3回 | 11月28日(水) | プルースト | 林 良児(フランス語学科 教授) |
第4回 | 12月12日(水) | フォークナー | 梅垣昌子(英米語学科 教授) |
第5回 | 1月7日(月) | マルケス | 野谷文昭(世界教養学科 教授) |
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概要
タイトル | 世界の文豪シリーズ 第3回 プルーストの『失われた時を求めて』 ―主人公〈私〉の無名性説をめぐって― |
講演者 | 林 良児 (フランス語学科 教授) |
開 催 | 主 催: ワールドリベラルアーツセンター 後 援: 創立30周年記念記念事業委員会 |
日 時 | 2018年11月28日(水)13:20~14:50 |
会 場 | 名 称: 名古屋外国語大学 図書館5階 多目的室 所在地: 〒470-0197 愛知県日進市岩崎町竹ノ山57 会場へのアクセスについて |
申 込 | 当日参加も可能ですが、準備の都合がありますので、事前のお申し込みをお願いいたします。 申込みのフォームに必要事項をご入力・送信してください。 https://req.qubo.jp/wlac/form/20181128 2018.11.28「プルーストの『失われた時を求めて』」参加申込みフォーム |
対 象 | どなたでも参加できます |
その他 | 参加無料 |
問合せ | 名古屋外国語大学ワールドリベラルアーツセンター TEL:0561-75-2164 E-mail:wlac_gg★nufs.ac.jp (★を@に変えて送信してください) |
講演者紹介
林 良児(フランス語学科 教授)
1949年福島県白河市生まれ。中央大学文学部卒業。1978年同大学院文学研究科仏文学専攻博士課程単位取得退学。愛知県立大学名誉教授。現在名古屋外国語大学外国語学部フランス語学科教授。専攻はフランスの19世紀後半から20世紀前半までの文学と絵画。著書に『愛に生きたフランス女流作家たち』(三省堂、共著)、『限りなき視線』(駿河台出版社、共著)、Index Général de la Correspondance de Marcel Proust (Presse de l’Université de Kyoto、共著)など。
1949年福島県白河市生まれ。中央大学文学部卒業。1978年同大学院文学研究科仏文学専攻博士課程単位取得退学。愛知県立大学名誉教授。現在名古屋外国語大学外国語学部フランス語学科教授。専攻はフランスの19世紀後半から20世紀前半までの文学と絵画。著書に『愛に生きたフランス女流作家たち』(三省堂、共著)、『限りなき視線』(駿河台出版社、共著)、Index Général de la Correspondance de Marcel Proust (Presse de l’Université de Kyoto、共著)など。