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9月28日 山極京大総長講演「ゴリラから学んだ人間社会の由来」を開催しました



 9月28日(金)15:00から、本学511教室におきまして、「ゴリラから学んだ人間社会の由来」と題し、山極壽一 京都大学総長による講演会を開催いたしました。
 当日は、学生・一般の方を含め約300人の方にご来場いただき、ゴリラの社会と人間の社会、生活や様々なルールを例に、比較することで分かることや、山極先生の考える「グローバル人材」についてご紹介いただきました。
 本講演会の司会は、現代国際学部国際教養学科 学科長、ワールドリベラルアーツセンター副センター長の佐藤都喜子教授が務めました。

開催のご報告

山極壽一氏

 現代の人間社会では、必要な情報はどこでも簡単に手に入れられるようになったが、その一方で、人間が失いつつある「共感力」について、そして我々人間がゴリラ社会から見習うべき本来のコミュニケーションのあり方について、フィールドワークでの体験も交えながらお話いただきました。
 ゴリラやチンパンジーなどの「類人猿」と、ニホンザルのような「サル」は大きく異なり、エサを食べるときのルールや挨拶の仕方なども違っています。人間やゴリラの現在の特徴をもとに、生活を共にする集団の大きさや移動範囲などが、コミュニケーションの方法に与えた影響や、生活環境の変化に伴う、子育てや成長過程の変化について、分かりやすくご紹介いただきました。
 講演の後半には、「サル化」する人間社会について「ゴリラ目線」でお話いただき、また人間がどのような力を備えていく必要があるのか、今後必要とされる力について、お話いただきました。

会場の様子

開催の挨拶(高梨芳郎副学長より・一部抜粋)

 科学技術・文化・社会の急速な発展とともに、世界規模での学術文化、人的交流が必要になり、グローバル人材の育成が喫緊の課題となっています。グローバル人材に必要な資質や能力としては、外国語能力、豊かな教養、多文化理解力、コミュニケーション能力などが提案されています。これらの能力や資質は、確かにこれからの社会で活躍する人材には欠くことができないものです。しかし最近は、言葉によるコミュニケーションにまつわる、様々な問題が数多く報道されています。このような状況の中で、私たち人間社会で、最も必要なものは何か、グローバル人材の資質に、どのようなものが必要であるのか、改めて目を向ける必要があると考えます。これらの資質、能力の最も基本となるものは、何か。山極先生によると、実はその答えはゴリラの社会にあるとのことです。
 ゴリラの社会には序列はなく、リーダーは優しさを持ち、群れの期待に応えるように振舞わなければならないそうです。人間は本来、対等や平等を愛するように生まれたはずなのに、今の社会は、共感能力や同情する能力を失いかけているように思われます。科学技術の発達、コミュニケーションの複雑さが急激に増す中で、ゴリラのコミュニケーションにもう一度立ち返ることが必要です。
 本学のポリシーには、豊かな共感能力の育成が提示されています。本日は、人間社会の最も基本となることについて、皆さんと共に学ばせていただきたいと思っています。

高梨芳郎 副学長

島田周平 教授

佐藤都喜子 教授

亀山郁夫 学長

参加した方からのご感想(一部抜粋)

 ゴリラの山際先生、生でお話を聞くことができて良かったです。ゴリラのビデオは大変面白かったので、もっとゴリラの生態についてお話を聞きたかったです。この先、ヒトがサル化してしまう恐れがあるとのこと‥日頃の生活で漠然と感じる不安、違和感はこういうことなのかもと思いました。ゴリラのように、私たち人間がもっとお互いに他者への共感を持てるようになれたら、温かいヒト社会となる可能性があるかもしれません。(一般参加)
 ゴリラは凶暴な動物だと思っていたが、人と挨拶するために顔を近づけに行ったり、服を引っ張ったりするなどとても可愛い一面があり驚いた。また、怪我をして右手を失っているゴリラに対する他のゴリラの行動でパパゴリラ以外の他のゴリラまでもが、心配しているような行動を見せていて、共感性や同情を持っているとわかり、とても人間に近いと思った。(本学学生)
 人間とゴリラとの共通点や、ゴリラと猿の異なる点を多く学べることができ、現在の人間社会の中で私達が当たり前に思っていることの背景も学ぶことができて、とても関心を持ちました。今回の講演でゴリラについて興味が増したため、動物園へ行った際はゴリラの行動を見たいと思います。(本学学生)

開催案内

 来たる9月28日(金)に、名古屋外国語大学創立30周年記念事業の一環として、ゴリラ研究の第一人者、京都大学山極壽一総長をお迎えして、講演会を開催いたします。
 どなたでも参加できます。ぜひご参加ください。

 人間の体や心は今、科学技術によって作られた環境とミスマッチを起こしている。確かな未来を見通すためには人間社会の由来を振り返る必要がある。それは人間を生んだアフリカ大陸に今も生き続ける野生のゴリラが教えてくれる。

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概要

タイトル ゴリラから学んだ人間社会の由来
ゲスト 山極 壽一 京都大学総長
開 催 主 催: 名古屋外国語大学ワールドリベラルアーツセンター
日 時 2018年9月28日(金)15:00~16:30
会 場 名 称: 名古屋外国語大学  5号館 511教室
所在地: 〒470-0197 愛知県日進市岩崎町竹ノ山57 会場へのアクセスについて
申 込 準備の都合がありますので、事前のお申し込みをお願いいたします。
申込みのフォームに必要事項をご入力・送信してください。
※参加申込の受付は先着順とし、定員になり次第、締め切ります。
https://req.qubo.jp/wlac/form/20180928
2018.09.28「ゴリラから学んだ人間社会の由来」参加申込みフォーム
対 象 名古屋外国語大学学生、教職員、一般市民など
どなたでも参加できます
その他 参加無料
問合せ 名古屋外国語大学ワールドリベラルアーツセンター
TEL:0561-75-2164  E-mail:wlac_gg★nufs.ac.jp (★を@に変えて送信してください)

ゲスト紹介

山極 壽一(やまぎわ じゅいち)京都大学総長
 1952年東京生まれ。京都大学理学部卒、理学博士。(財)日本モンキーセンター研究員、京都大学霊長類研究所助手、同大学院理学研究科教授を経て、現在京都大学総長。1975年より屋久島で野生ニホンザルの調査を始め、1978年よりアフリカ各地でゴリラの野外研究に従事。霊長類の行動や生態をもとに初期人類の生活を復元し、人類に特有な社会特徴の由来を探っている。1980年代から屋久島で野外博物館事業、コンゴ民主共和国ではゴリラと人との共生を目指したNGOポレポレ基金を推進している。最近はガボンではJST/JICAの地球規模課題対応国際科学技術協力「野生生物と人間の共生を通じた熱帯林の生物多様性保全」事業を担った。著書に、『サルと歩いた屋久島』(山と渓谷社)、『ゴリラの森に暮らす』(NTT出版)、『ジャングルで学んだこと』(フレーベル館)、『ゴリラ』(東京大学出版会)、『暴力はどこからきたか』(NHKブックス)、『家族進化論』(東京大学出版会)、『ゴリラは語る』(講談社)、『京大式おもろい勉強法』(朝日新書)、『ゴリラは戦わない』(共著、中公新書ラクレ)、『都市と野生の思考』(共著、インターナショナル新書)、『日本の人類学』(共著、ちくま新書)、『ゴリラに学ぶ』(共著、ミネルヴァ書房)、『ゴリラからの警告』(毎日新聞出版)など。