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6月27日「日系アメリカ人の第二次世界大戦の経験:帰米の物語」を開催しました




 2017年6月27日(火)13時20分から本学7号館 701教室にて、英米語学科主催学術講演会「The WWII Japanese American Experience: A Kibei Story 日系アメリカ人の第二次世界大戦の経験:帰米の物語」が開催され、本学学生や教員の他、一般の方を含め、合計174名の方にご参加頂きました。

講演要旨

 講演者のサツキ・イナ氏は日系アメリカ人三世で、1944年5月にカリフォルニア州北部にあるトューリ・レーク強制収容所で生まれました。イナ氏のご両親は米国で生まれたため米市民権は持つものの、家庭の事情により日本で幼少期を過ごした後、再び米国に戻った経験を持つ帰米二世でした。日米開戦直後の1942年、イナ氏のご両親は約12万人の米国西海岸在住の日系アメリカ人とともに、自宅からの強制退去を命じられ、手で持つことのできる荷物だけを携えて、その後の四年間にわたり「囚人」として数々の収容所での生活を強いられます。日系アメリカ人を襲ったこの不公正に対し、約50年後の1988年に米国政府は公式な謝罪を表明しました。講演でイナ氏は、ご両親が遺された日記や、書簡、父、いたる氏の俳句の句帳、写真など豊富な一次資料を使いながら、自身と家族の体験談を中心に日系アメリカ人の経験についてお話しされました。

参加者の感想

 講演後、日本語、英語の両言語で65通の感想が寄せられました。学生の皆さんからは戦争中に日本で何が起きていたかについては、少しは知識があったものの、日系アメリカ人の経験については何も知らなかったという驚きの声や、日本人として日本に住んでいて、人種や国籍のことを意識したこともなく、差別も経験した事がなかったので、圧倒されたといった感想がよせられました。イナ氏も講演の中で日系アメリカと日本との交流を深めていくことの重要性を強調されました。講演の冒頭、イナ氏は次のように述べられています。「私たち日系アメリカ人は自分達に降りかかった悲劇や喪失に手一杯で、同じ時期に日本で何が起きていたのかについてあまり学んできませんでした。同じことがみなさんにも言えるのではないでしょうか。だからこそ今日、私たちの経験を共有できることがすばらしいと思うのです。」
 講演会には一般の方々にも多くご参加いただきました。その中にはご自身やご家族の方がイナ氏のご両親と同じような経験をされた方もおられました。イナ氏が強調された、語られてこなかった歴史を掘り起し、語り継ぐこと、そして同じような過ちを繰り返さないように声をあげていくことの大切さに強い共感を示されました。また、戦争に従軍した父親を持つ女性は、イナ氏の講演を聞いて、何も語らず他界していった父親のことを想起し、その壮絶さゆえに「語れない」体験であっても後世の人々がその歴史と向き合っていくことの重要性を改めて認識したと述べられました。

講演内容にさらに関心のある方へ

 イナ氏は2017年に米国で公開されたドキュメンタリー映画、And Then They Came for Usに出演されています。昨今の米国の移民、難民やイスラム教徒に対する姿勢、言説に対し、70年以上前に日系アメリカ人に対して犯された過ちを繰り返してはならない、そして米国の民主主義を守るためには間違っていることに対して抗議の声をあげなければならないという製作者、関係者たちの強い思いが反映されている映画です。講演の後半にイナ氏は、第二次世界大戦における日系アメリカ人の経験をなぜ今、そしてどのように捉えなおす必要があるのかという問いを投げかけられました。その問いかけに関心のある方は是非、最新の映画に関するこちらのサイトを参照ください。
https://www.thentheycamedoc.com/about/

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テーマ 英米語学科学術講演会
The WWII Japanese American Experience: A Kibei Story
(日系アメリカ人の第二次世界大戦の経験:帰米の物語)
開 催 主 催 : 名古屋外国語大学 英米語学科
共 催 : 名古屋外国語大学 ワールドリベラルアーツセンター
日 時 2017年(平成29年)6月27日(火) 13:20~14:50
講演者 サツキ・イナ氏
 カリフォルニア州立大学サクラメント校名誉教授。トラウマ治療を専門とする心理療法士。日系アメリカ人3世として、第2次世界大戦中に日系アメリカ人を収容した強制収容所の1つ、トューリ・レーク隔離収容所内で生まれる。カリフォルニア大学バークレー校卒業後、オレゴン州立大学コーバリス校で博士課程修了(心理学)。ドキュメンタリー映画監督としてChildren of the Camps(収容所の子どもたち)(2000年)とFrom a Silk Cocoon (絹の繭から)(2005年)を製作。From a Silk Cocoonは、アメリカ生まれ、日本育ちの帰米2世であるイナ氏の両親の強制収容体験を映画化したもので、「文化・歴史番組制作」の部門でエミー賞(北カリフォルニア地区)を受賞した。現在カリフォルニア州オークランド在住。
会 場 名 称: 701教室≪名古屋外国語大学7号館 地下1階 大講義室≫
所在地: 〒470-0197 愛知県日進市岩崎町竹ノ山57
会場へのアクセスについて
対 象 名古屋外国語大学生及び教職員、中学校・高等学校の教員、関心のある一般市民
その他 入場無料・申込み不要
講演は全て英語で行われ、通訳はありません
問合せ先 名古屋外国語大学英米語学科
Tel:0561-75-2609 (直通)
e-mail: chiemy@nufs.ac.jp