10月4日(火)、WLAC主催の講演会『世界を駆けめぐる-国際協力の現場からの発信-』が開催されました。講演者には、独立行政法人国際協力機構(JICA)の理事をされていた柳沢香枝氏をお招きしました。開発途上国の現状や日本との関係、JICAの活動や日本が国際協力に関わる意義に触れる内容に、参加者は熱心に耳を傾けました。
講演要旨
-国際協力とは-
JICAとは、日本政府の国際協力を実施する機関です。そもそも、国際協力とは何を指すのでしょうか。広い意味で考えると、「国と国、いくつかの国のグループ、全世界の国々、民間団体などが、共通の目的に向かって協力すること」です。さらに狭い意味で見てみると、「開発途上国の経済や社会の発展を、政府、民間企業、国際機関などが“援助”を通じて支援すること」とも考えることができます。国と国の壁を越えて行うものは、全て国際協力であるのです。
JICAとは、日本政府の国際協力を実施する機関です。そもそも、国際協力とは何を指すのでしょうか。広い意味で考えると、「国と国、いくつかの国のグループ、全世界の国々、民間団体などが、共通の目的に向かって協力すること」です。さらに狭い意味で見てみると、「開発途上国の経済や社会の発展を、政府、民間企業、国際機関などが“援助”を通じて支援すること」とも考えることができます。国と国の壁を越えて行うものは、全て国際協力であるのです。
-開発途上国の現状と問題-
世界の人口の約8割は開発途上国に集中しています。彼らが生み出す世界での富の配分は、1990年から2015年で20%増え、格差が少なくなってきています。2014年の国内総生産のランキングでは複数の国が先進国とともに上位にランクインし、教育の向上や平均寿命の延びといった報告もされています。
しかし、590万人の子供が5歳になる前に亡くなったり、豊かになってきた国でも感染症による死亡の減少により高齢化が進んだりと、アジア、アフリカ、中南米を中心に未だ多くの問題があります。
開発途上国の多くは1960年前後まで植民地でした。そのため、独立後、先進国に比べ後から国の基盤を固め始めた開発途上国は、現在「国づくり」の途中と言えます。また開発途上国は先進国主導で作られたシステムに遅れて参加しなければなりません。もともと時間のかかる国づくりを先進国中心の世界の中でやっていかなければならないという厳しい環境が、開発途上国で数々の問題を生み出す原因となっているのです。
世界の人口の約8割は開発途上国に集中しています。彼らが生み出す世界での富の配分は、1990年から2015年で20%増え、格差が少なくなってきています。2014年の国内総生産のランキングでは複数の国が先進国とともに上位にランクインし、教育の向上や平均寿命の延びといった報告もされています。
しかし、590万人の子供が5歳になる前に亡くなったり、豊かになってきた国でも感染症による死亡の減少により高齢化が進んだりと、アジア、アフリカ、中南米を中心に未だ多くの問題があります。
開発途上国の多くは1960年前後まで植民地でした。そのため、独立後、先進国に比べ後から国の基盤を固め始めた開発途上国は、現在「国づくり」の途中と言えます。また開発途上国は先進国主導で作られたシステムに遅れて参加しなければなりません。もともと時間のかかる国づくりを先進国中心の世界の中でやっていかなければならないという厳しい環境が、開発途上国で数々の問題を生み出す原因となっているのです。
-開発途上国と日本の関係-
日本の平和や経済の安定は、開発途上国を含む世界の国々と密接に結びついています。昨今のグローバル化によりその影響はさらに強まっています。世界が繫がっている今、私たちは自分だけでなく他人の幸せや権利も考えていくことが必要です。使っていない電気を消したり水を止めたりするだけでも、開発途上国にとって十分な国際協力になります。日本にいてもできる国際協力はたくさんあるのです。
日本の平和や経済の安定は、開発途上国を含む世界の国々と密接に結びついています。昨今のグローバル化によりその影響はさらに強まっています。世界が繫がっている今、私たちは自分だけでなく他人の幸せや権利も考えていくことが必要です。使っていない電気を消したり水を止めたりするだけでも、開発途上国にとって十分な国際協力になります。日本にいてもできる国際協力はたくさんあるのです。
-国際協力のこれから-
発達した技術を開発途上国に持ち込む必要はありません。それぞれの国に合った方法で、その国の人たちが納得できる方法を考える必要があります。日本のやり方を押し付けるのではなく、一緒に考えて歩んでくれた日本人は素晴らしいと世界から評価されています。JICAや専門家、青年海外協力隊は、その国の人たちが前へ進めるようにアドバイスをすることや自分で動く力を引き出すことが役目であり、実際に動いていくのは現地の政府や地域社会の人たちです。
日本は戦後から発展してきた経験を、開発途上国に共有することができるうえに、日本にはこれから他の国でも起こりうる高齢化や災害対策、地方の衰退など様々な問題を抱えています。私たちはこれらの問題を一緒に考えていくことで、今後の世界に貢献できることがあるはずです。
発達した技術を開発途上国に持ち込む必要はありません。それぞれの国に合った方法で、その国の人たちが納得できる方法を考える必要があります。日本のやり方を押し付けるのではなく、一緒に考えて歩んでくれた日本人は素晴らしいと世界から評価されています。JICAや専門家、青年海外協力隊は、その国の人たちが前へ進めるようにアドバイスをすることや自分で動く力を引き出すことが役目であり、実際に動いていくのは現地の政府や地域社会の人たちです。
日本は戦後から発展してきた経験を、開発途上国に共有することができるうえに、日本にはこれから他の国でも起こりうる高齢化や災害対策、地方の衰退など様々な問題を抱えています。私たちはこれらの問題を一緒に考えていくことで、今後の世界に貢献できることがあるはずです。
主な質疑応答の内容
日本と他国の国際協力の違いは?
日本は、日本自身が貧しいところから発展した経験があるので、その経験を開発途上国に伝えようとしています。また日本は「人」を育てるところに力を置いているので、現地の人たちが自分たちで発展できるように力を貸していました。このように短期間で何かを作り上げるのではなく、何十年かけて一つの事業を行ってきました。
中国はアフリカに対して1950年代から行ってきて、日本よりもずっと付き合いが長いです。中国の援助は中国の企業が現地に行き、全部中国人にやらせると思われがちですが、意思決定が早く、その国が今やってほしい援助をやってくれるという面もあります。
日本は、日本自身が貧しいところから発展した経験があるので、その経験を開発途上国に伝えようとしています。また日本は「人」を育てるところに力を置いているので、現地の人たちが自分たちで発展できるように力を貸していました。このように短期間で何かを作り上げるのではなく、何十年かけて一つの事業を行ってきました。
中国はアフリカに対して1950年代から行ってきて、日本よりもずっと付き合いが長いです。中国の援助は中国の企業が現地に行き、全部中国人にやらせると思われがちですが、意思決定が早く、その国が今やってほしい援助をやってくれるという面もあります。
国内でもできる国際協力は?
日本にも海外の方たちがたくさん住んでいらっしゃるので、私たちはその人たちとどう共生していくのか、日本の中で海外の文化とどのように尊重して暮らしていくかを考えていくことが重要です。また電気の節約や手に取った商品がどこで作られているかを考えることも国際協力になります。
日本にも海外の方たちがたくさん住んでいらっしゃるので、私たちはその人たちとどう共生していくのか、日本の中で海外の文化とどのように尊重して暮らしていくかを考えていくことが重要です。また電気の節約や手に取った商品がどこで作られているかを考えることも国際協力になります。
難民を受け入れるために必要なことは?
日本の難民の受け入れは、他国に比べれば圧倒的に少ないです。難民は全く仕事も奪われて、自分の力では全く生きていけない人たちと思ってしまいがちです。しかし、難民は自分の力で何もできない人たちではなく、自分の国で何か仕事をやってきた人や教育を受けてきた人たちです。だから私たちは、難民を「何もできない人たち」ではなく、「何かできる人たち」と捉え、一緒に暮らしていこう、その人たちが持っているものを生かそうという気持ちを一人ひとりが持つことが必要です。
日本の難民の受け入れは、他国に比べれば圧倒的に少ないです。難民は全く仕事も奪われて、自分の力では全く生きていけない人たちと思ってしまいがちです。しかし、難民は自分の力で何もできない人たちではなく、自分の国で何か仕事をやってきた人や教育を受けてきた人たちです。だから私たちは、難民を「何もできない人たち」ではなく、「何かできる人たち」と捉え、一緒に暮らしていこう、その人たちが持っているものを生かそうという気持ちを一人ひとりが持つことが必要です。
下記リンクより、チラシをご覧いただけます。
お問合せ 名古屋外国語大学ワールドリベラルアーツセンター
wlac_gg@nufs.ac.jp
0561-75-2164(直通)
wlac_gg@nufs.ac.jp
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