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国際交流

第2節 学生の海外留学

(2)学生の派遣

 本学が海外留学生を派遣したのは、1988年の開学の年に1名の長期留学生を派遣し、短期留学は平成3年に英米語学科が米国研修として17名を派遣したことに始まる。以来、平成15年度までの累計は短期留学2.423名、長期留学(私費留学を含む)1.137名、合計3.560名である。平成15年度は、短期留学に330名、長期留学に219名、合計549名で5年前の平成10年の2倍となった。長期留学は、前年度比30%増の過去最高の派遣数となった(表―2参照)。本学の留学制度が充実するに従い、本学学生の海外留学に対する関心が深まっている。毎年年度始めに開く留学説明会(平成15年度は400名以上が参加)では、本学の留学のすべてがわかる「留学ハンドブック」(毎年発行)を基に留学の詳細を説明している。

 平成12年度までは、本学から一方的に協定大学等へ学生を派遣していたが、学生交換の協定を結ぶに至り、長期留学は現在、交換留学が主体となっている。また、平成14年度の認定留学制度の改定により、平成15年度は57名の学生が認定留学をした。その数は前年比5.7倍と飛躍的に増加した。これは、同制度の奨学金を拡大したことにより経済的な負担が軽減され、多くの学生に留学の機会を提供できたことによる。長期留学の場合、選考は年2回実施され、合格した学生へは留学前の準備や手続きについてきめ細かいガイダンスを行っている。平成13年度より、危機管理の専門機関から講師を招き、「生活面・安全面に関する講演会」を開催し、専門家から危機管理について具体的なアドバイスを受け出発に備えている。また、留学期間中も留学先大学の担当者と緊密に連絡を取り、学生の学習効果の向上と安全の確保を図っている。平成14年度の交換留学生に対して、留学先で必要となる英語力(エッセイの書き方、プレゼンテーションの仕方等)を高めるため、本学のネイティブ講師による「留学準備コース」が設けられた。

 以上の水準で行くと、4年間の在学期間中に、全学生の63%が卒業時までに留学が可能であり、学生数に対し海外留学できる割合は他大学では例を見ない高さである。しかし外国語大学である以上、その言語の話される国を訪れ、異文化体験をすることは、不可欠なことと考え、すべての学生が海外留学を達成できる学内の環境作りに努力をしたい。具体的には、本学の留学の柱となっている交換留学の規模を、現在の派遣・受入双方向延100名規模(平成15年度は、派遣49名、受入66名の計115名)から、200名規模に拡大するとともに短期留学等をさらに促進することにより、在学4年間ですべての学生が長期・短期いずれかの海外体験を可能なるよう年間880名を海外へ派遣することを目指したい。

 英語力向上のサポートとして、国際交流部では、英語圏への留学希望者のために、留学の語学基準を決定するTOEFL対策として定評のある専門機関から講師を招き、「TOEFLスコアアップ講座」を平成14年度より開講し好評を得ている。また学内でTOEFL(ITP)を年3回実施し、受験料を大学が補助するため、年間1,200名以上が受験している。平成15年に入りTOEFL,TOEICに対する全学生対象の受験および年間を通した講座の開設方針が打ち出されたことは、学生全体の英語能力の向上に貢献すると同時に海外留学、特に長期留学に耐えうる学生数の増加につながるので大いに期待されるところである。

 短期留学は、全学科で実施され平成15年には英米語学科で4件、フランス語学科で1件、中国語学科で1件、日本語学科で1件、国際経営学科で3件の10のプログラムが実施され330名が参加した(表―2参照)。SARSの影響で前年度比の17%減であったが、年々着実に参加者は増加している。学生の参加希望者も多いため今後、実施プログラムを増やすことが予定されている。研修先も協定大学の増加に伴い、受入大学と共同で各学科の特色を生かした内容が企画されている。主に1、2年次で参加するため、この経験を機に長期留学に興味を持つ学生も多くいる。

 留学制度の充実に伴い、海外留学を目指す学生が増加したのは望ましいことである。全学的な理解と協力を得て、毎年海外派遣の実績を更新していることは評価される。反面、国際情勢が不安定な昨今、緊急事態に備え、留学中の学生や引率教員の安全と危機に対し、敏速な対応が求められるので、平成14年度に危機管理対策の専門組織、JCSOS危機管理システムに全員加入し、通常時の危機情報の収集、万一の場合の対応に混乱の無いように努めている。海外旅行傷害保険はもとより、不慮の事故等に対応できる各種保険、賠償保険関係も整備した。参加者の安全対策として、研修には教員が同行している。この危機管理体制は他大学に先駆けた対応として評価される。実際過去のSARS情報収集、留学中の学生対応、不慮の事故に対しこの管理体制が効果を発揮した。