第1節 研究活動
(4)各種制度による研究活動
1)科学研究費補助金による研究活動
本学における科学研究費補助金の採択状況は表5、採択課題一覧は表6のとおりである。 本学の創立は、1988(昭和63)年4月1日であり数年間は、教育・研究の基盤整備に努力が傾注され、科学研究費補助金の申請が見送られたが、平成9年度から申請をするようになった。これまで科学研究費補助金の申請は教員個人の自主性に任かされ、文系であることもあって申請数、採択率とも思わしくなかったため、平成14年度からは効果的な申請方法等についての説明会を開催するなど積極的に申請するよう奨励している。その結果、平成15年度は12件申請し4件採択された。採択率は前年度より若干減少しているが、科研費に挑戦しようという意欲は高まってきた。
他大学等において採択された研究課題への研究分担・協力状況は表10のとおりである。こちらの方にはかなりの教員が参加していることが伺える。
これからも本学では科学研究費補助金を積極的に活用して研究活動の一層の充実を図りたい。
表8 科学研究費の採択状況
学 部 |
平成10年度 |
平成11年度 |
平成12年度 |
申請件数 |
採択件数 |
採択率(%) |
申請件数 |
採択件数 |
採択率(%) |
申請件数 |
採択件数 |
採択率(%) |
外国語 |
1 |
0 |
0.0 |
3 |
1 |
33.3 |
6 |
1 |
16.7 |
国際経営 |
3 |
0 |
0.0 |
4 |
0 |
0.0 |
4 |
0 |
0.0 |
計 |
4 |
0 |
0.0 |
7 |
1 |
14.3 |
10 |
1 |
10.0 |
学 部 |
平成13年度 |
平成14年度 |
平成15年度 |
申請件数 |
採択件数 |
採択率(%) |
申請件数 |
採択件数 |
採択率(%) |
申請件数 |
採択件数 |
採択率(%) |
外国語 |
5 |
1 |
20 |
3 |
2 |
66.7 |
9 |
1 |
11.1 |
国際経営 |
4 |
0 |
0.0 |
4 |
0 |
0.0 |
3 |
1 |
33.3 |
計 |
9 |
1 |
11.1 |
7 |
2 |
28.6 |
12 |
2 |
11.1 |
表9 科学研究費採択課題一覧
外国語学部
研 究 課 題 |
研究種別 |
研究期間 |
共同・単独の別 |
研究組織の人数 |
計 |
学内者 |
学外者 |
日本の大学におけるコミュニカティブなカリキュラムの適用を奨励する新理論 |
基盤研究C(2) |
H11〜H14 |
単独 |
1 |
1 |
0 |
現段階のEU・フランスと日本における農政転換と農業構造の変化に関する比較研究 |
基盤研究C(2) |
H12〜H14 |
共同 |
2 |
1 |
1 |
近代中国知識人夫婦における「知」の共有 |
基盤研究C(2) |
H13〜H14 |
単独 |
1 |
1 |
0 |
尾張藩における幕府関連記録の基礎的研究 |
基盤研究C(2) |
H14〜H17 |
共同 |
2 |
1 |
1 |
言語環境が影響を及ぼす言語機能の音響学的・生理学的研究 |
若手B |
H14〜H15 |
単独 |
1 |
1 |
0 |
外国語習得と母語との関係―セミリンガル現象の要因と教育的処置に関する基礎的研究 |
基盤研究B(1) |
H15〜H16 |
共同 |
4 |
1 |
3 |
国際経営学部
研 究 課 題 |
研究種別 |
研究期間 |
共同・単独の別 |
研究組織の人数 |
計 |
学内者 |
学外者 |
PDSによる英語教育改革の実践的研究―大学と連携した中等学校のカリキュラム改革 |
基盤研究C(2) |
H15〜H18 |
単独 |
1 |
1 |
0 |
表10 他機関で採択された研究課題の研究協力・分担状況
外国語学部
研究機関 |
研 究 課 題 |
研究期間 |
本学からの参加者数 |
国立国語研究所 |
国際社会における日本語についての総合的研究 |
平成7〜11年 |
1名 |
岡崎国立共同研究機構 生理学研究所 |
特定領域(A)[心の発達:認知的成長の機構]公募班 脳磁図・脳波を指標とした語音認知の発達的研究 |
平成9〜12年度 |
1名 |
順天堂大学 |
第2言語習得におけるリズムパターンの生成と知覚―英語母語話者と日本人英語学習者の比較 |
平成10〜11年度 |
1名 |
国際基督教大学 |
外国語学習における独習型読解支援システムの開発と利用に関する基礎的研究 |
平成11〜14年度 |
4名 |
メディア教育開発センター |
特定領域(A)高等教育改革に資するマルチメディアの高度利用に関する研究 「マルチメディアCD-ROM 教材「CALLドイツ語文法」の開発」 |
平成12年度 |
1名 |
順天堂大学 |
英語におけるリズムパターンの習得過程―談話における生成と知覚 |
平成12〜13年度 |
1名 |
メディア教育開発センター |
特定領域(A)高等教育改革に資するマルチメディアの高度利用に関する研究 「中国語CALL教材の開発とオンライン化のための研究」 |
平成13年度 |
1名 |
メディア教育開発センター |
特定領域(A)高等教育改革に資するマルチメディアの高度利用に関する研究 「フランス語CALL教材(初級文法)の作成とその高度化のための研究」 |
平成14年度 |
1名 |
順天堂大学 |
音声言語の効果的指導方法―日本人学習者による英語のリズムパターン習得の観点より |
平成14〜15年度 |
1名 |
東京女子大学 |
日本語教育用オンラインテストの開発 |
平成15〜18年度 |
1名 |
奈良大学 |
生涯発達の視点からみたジェンダー:その発達機制の理論化と教育実践 |
平成15〜17年度 |
1名 |
国際経営学部
研究機関 |
研 究 課 題 |
研究期間 |
本学からの参加者数 |
愛知学院大学 |
財務報告の国際比較とその分析 |
平成10〜12年度 |
2名 |
愛知学院大学 |
会計基準の国際的統一に向けた欧州・北米・アジア・オセアニア諸国の対応と諸問題 |
平成14〜16年度 |
2名 |
2)共同研究費による研究活動
本学では優れた特色ある教育内容を格段に発展させることを目的とする研究又はわが国学界に大きく寄与する研究のうち、本学に所属する専任教員(本学の非常勤教員を含む。)が共同して行う研究に対し共同研究費として特別に経費を助成している。助成方法等は研究体制の整備の項で述べる。この制度は平成8年6月に創設され、表11のとおり2件の共同研究が行われた。これらの研究は、前述した研究叢書に結実している。しかし、本学には共同研究制度が設けられていながらこれまで2件のみとあまり活用されていない。あらためてこの制度が存在することを学内に周知し、共同研究を奨励したい。
表11 本学共同研究費採択状況一覧
学部 学科 |
共同研究者数 |
研究課題 |
研究期間 |
研究発表(研究叢書) |
外国語学部
中国語学科 |
15名(内、客員、非常勤10名) |
中国語教育法の研究 |
平成9〜11度 |
中国語・中国語教育法の研究 |
国際経営
国際経営学科
(CE担当教員) |
9名 |
Communicative English in Action |
平成9〜11度 |
Communicative English in Action |
3)海外派遣及び受入制度に基く研究活動
本学では、教員の研究活動を活性化するために本学独自に各種の海外派遣及び受入制度を設けている。それらは次のとおりである。
1. 名古屋外国語大学派遣研究員制度
この制度は、教育・研究の向上を目的として、本学に4年以上在籍する講師以上の教員で50歳未満の者を一定期間外国に派遣する制度である。この制度は、長期と短期の2種類がある。長期派遣研究員は、6ヶ月以上1ヵ年以内の期間外国の大学、研究所等に調査研究するために派遣される者である。短期派遣研究員は、原則として3ヶ月以内の期間外国に派遣される者である。この制度に採用されると、往復渡航費(実費)、滞在費1日当り15,000円及び支度料25,000円が支給される。この制度は平成4年10月に創設され、それ以来5名の教員が派遣された。5名の派遣先、研究課題等は表12のとおりある。この表にも示すように、平成12年度以降は派遣者がいない。これは、予算の制約、日常の教育、研究が非常に多忙になってきた中で、派遣教員の担当授業を他の専任教員が分担することになっていることが主な原因と思われる。今後は派遣教員の担当授業は非常勤講師に肩代わりしてもらうなど周辺の環境を整えて、若手教員を中心に派遣するよう配慮したい。
表12 派遣先、派遣期間及び研究課題一覧
外国語学部
派遣国 |
派遣先研究機関 |
派遣期間 |
研 究 課 題 |
助成額(単位:円) |
オランダ |
エラスムス大学 |
H6.9.1〜H7.7.31 |
スピノザ哲学の背景としての精神的風土に関する現地調査及び「短論文」期のスピノザ研究 |
1,899,500 |
中 国 |
北京市社会科学院 |
H8.1.1〜H8.3.31 |
21世紀の日中関係及び日本の国際貢献 |
906,900 |
フランス |
パリ第4大学(ソルボンヌ) |
H9.3.1〜H10.2.28 |
19世紀前半のフランスにおける女性啓蒙のための知的出版物について |
3,430,000 |
フランス |
ニース・ソフィアンチポリス大学及び学校法人地中海フランス研究センター |
H11.10.1〜H11.12.31 |
フランス語文法史、ことに16世紀・17世紀を中心にしての研究 |
3,268,700 |
国際経営学部
派遣国 |
派遣先研究機関 |
派遣期間 |
研 究 課 題 |
助成額(単位:円) |
ドイツ |
ボッフム大学 |
H10.4.8〜H10.7.8 |
・ドイツ経営経済学の方法的課題 ・経営経済学から現代の方向付けまでの総合的研究 |
1,282,300 |
2. 名古屋外国語大学国際研究集会派遣制度
この制度は、教育・研究の推進を図ることを目的として海外において開催される国際研究集会に本学の講師以上の教員を、次の条件を満たした場合に派遣する制度である。
- 多数の国の研究者が参加する国際研究集会であること
- 国際的に権威のある学術団体または学術研究機関の主催するものであること
- 派遣教員は、集会において招待講演、研究発表、座長を務めるなど重要な役割を果たすこと
この制度により派遣が認められると、会場までの往復渡航費(実費)日当5,000円、宿泊料(実費、20,000円を限度)、及び支度料5,000円が支給される。過去の実績は、13名で派遣国際研究集会、派遣期間、役割は、表13のとおりである。この制度も平成4年10月に創設されたが、平成8年までは派遣者は皆無であった。しかし、表13にも示すように、平成9年頃からの本学の急速な国際化にあわせてこの制度の活用が目立つようになった。今後も本学教員が国際研究集会等で活躍できるよう条件整備に努めたい。
表13 派遣国際研究集会一覧
外国語学部
研究会名称(開催国) |
派遣研究期間 |
役 割 |
助成額(単位:円) |
第10回オーストラリア日本研究学会(オーストラリア) |
H9.7.6〜H9.7.10 |
研究発表 |
185,317 |
日本語とコンピューター国際会議 |
H11.8.22〜H11.8.25 |
研究発表及び座長 |
388,642 |
MLA年大会(米国) |
H12.12.27〜H12.12.30 |
研究発表 |
296,960 |
豪州日本研究学会(オーストラリア) |
H13.6.27〜H13.6.30 |
研究発表 |
198,014 |
豪州日本研究学会(オーストラリア) |
H13.6.27〜H13.6.30 |
研究発表 |
216,554 |
日本文化研究フォーラム(中国) |
H13.9.1〜H13.9.3 |
講 演 |
310,900 |
第13回応用言語学国際会議(オーストラリア) |
H14.12.16〜H14.12.21 |
研究発表 |
176,740 |
同 上 |
同 上 |
研究発表 |
278,453 |
国際対照言語学会(スペイン) |
H15.9.23〜H15.9.26 |
研究発表 |
356,000 |
国際経営学部
研究会名称(開催国) |
派遣研究期間 |
役 割 |
助成額(単位:円) |
1997経営学会年次大学大会(米国) |
H9.8.8〜H9.8.13 |
研究発表及びシンポジウムのパネリスト |
266,000 |
第1回国際直接民主制会議(チェコ共和国) |
H10.8.25〜H10.8.27 |
研究報告及び意見交換 |
273,800 |
国際ビジネス、経営管理学会 |
H12.7.10〜H12.7.12 |
研究発表 |
284,740 |
第36回英語教育国際会議(米国) |
H14.4.9〜H14.4.13 |
研究発表 |
310,512 |
上述の2制度は、本学から教員を派遣する制度であるが、次の2つの制度は、外国から研究者を受け入れて共同研究等を行う制度である。
3. 名古屋外国語大学客員研究員短期受入制度
この制度は、国際交流の推進を図るとともに共同研究を行うため国際交流協定を締結している海外の大学の教員を研究者として短期間招聘する制度である。短期間とは、原則として1ヶ月以内としている。滞在期間中に、学部生、院生に対する特別講義、受入学科の教員との研究会等を行う。この制度により招聘する客員研究員には往復渡航費(実費)及び滞在費として
1日当り7,700円(食費、国内交通費、謝金、保険料を含む。)を支給し、宿舎は無料で提供する。この制度は、平成6年4月に創設された。過去の実績は7名で、客員研究員の所属研究機関、受入期間、受入学部・学科は表14のとおりである。表14に示すようにこの制度を活用しているのは外国語学部の一部学科のみである。この制度は、提携校との国際交流を推進するため非常に有効であるので、他の学科でも活用するよう奨励したい。
表14 客員研究員短期受入状況
所属研究機関 |
受入期間 |
受入学科 |
オート・アルザス大学 |
H6.4.30〜H6.5.31 |
フランス語学科 |
上海外国語大学 |
H6.6.2〜H6.7.1 |
中国語学科 |
マルヌ・ラ・ヴァレー大学 |
H7.9.28〜H7.10.25 |
フランス語学科 |
グルノーブル第3大学 |
H8.10下旬〜H8.11下旬 |
フランス語学科 |
北京外国語大学 |
H810.11〜H811.10 |
中国語学科 |
西安外国語大学 |
H9.10.12〜H911.11 |
中国語学科 |
大連外国語学院 |
H11.10.20〜H11.11.19 |
中国語学科 |
4. 名古屋外国語大学特別研究員受入制度
この制度は、本学の教育・研究の充実を図るとともに共同研究を行うため本学教員の申請に基づき海外から研究者を受け入れる制度である。滞在期間中、主として受入教員との間で共同研究等を行う。受入期間は1年以内である。特別研究員には研究室等施設・設備の便宜は供与するが、旅費、滞在費、研究費等は自己負担である。過去の実績は、表15のとおり6名で、特別研究員の所属機関、受入学科、研究課題は表15のとおりである。この制度は平成8年6月に創設された。また、特別研究員は受入教員と共通の研究テーマを持つ研究者で、本学の専任講師と同等以上の資格があれ誰でもよい。また所属研究機関は、必ずしも本学提携校からでなくてもよい。この制度も本学の教育・研究水準を上げるため大いに活用するよう各教員に周知したい。
表15 特別研究員受入一覧
国際コミュニケーション研究科
所属研究機関 |
受入期間 |
受入学科等 |
研究課題 |
ブリティッシュ・コロンビア大学 |
H9.6.1〜H10.1.9 |
大学院 |
談話における日本語従属節の機能 |
オーストラリアン・カソリック大学 |
H9.10.1〜H10.1.31 |
大学院 |
ゲーム理論から見る日本自動車産業における系列制度 |
外国語学部
所属研究機関 |
受入期間 |
受入学科等 |
研究課題 |
テネシー大学 |
H10.9.1〜H116.8.31 |
日本語学科 |
文芸の技法・構成の日本演劇へ導入の仕方とその進展の検証 |
セントラル・ランカシャー大学 |
H11.6.1〜H12.3.31 |
英米語学科 |
スペイン語、英語、日本語の語法についての比較研究 |
オーストラリアン・カソリック大学 |
H13.9中旬〜H13.12中旬 |
日本語学科 |
日本において日本語教育の専門分野について実態調査をし、教授体験を通してテキスト編纂、オーストラリアにおける効果的日本語教授の新ユニットの開発をする |
西安外国語学院 |
H15.10.1〜H16.3.31 |
日本語学科 |
日本の歴史及び日本文化についての研究
中国語と日本語の語彙から分かる日中文化の異同
3.日本人の中国文化の認識及び中国研究について
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以上のとおり本学では教員の自律的な研究を奨励するために、次節で述べる研究費等と合わせてさまざまな制度を設けている。
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