自己点検・評価

自己点検・評価インデックス>>第3章第2節(3)新学部カリキュラムと到達目標の関連

教育研究の内容・方法と条件整備

第2節 国際経営学部

(3)新学部カリキュラムと到達目標の関連

 ところで、既に第1章「学部の理念・目的・教育目標」の当該箇所で述べたように、本国際経営学部は、2004年度(平成16年度)4月より現代国際学部に改組されることになった。学科も従来の国際経営学科1学科の体制から「現代英語学科」「国際ビジネス学科」の2学科制に変更された。教育課程はここまで見てきた国際経営学部の教育の経験を踏まえたものになっている。新学部の基本的な教育方針の柱は、二つある。一つは学生の主体性を尊重し、自主的な判断のもとに大学での学習の成果を上げられるようにするというものである。この基本方針にしたがって、学生の選択の幅を広げ、自ら履修すべき科目をできるかぎり選べるようにするためにカリキュラムが編成されている。もう一つは、学生にとってより魅力ありかつ実効性のあるプログラムを提供するというものである。これは本章冒頭に記された本学全体の教育到達目標に呼応するものであるが、これについては後述する。
  • 学生の選択の幅を広げ、自主的な学習の機会をより多く提供する。
    セメスター制は維持するが、4単位科目は置かず、すべて2単位科目とし、週1回の授業で1セメスターで完結するものとする。週2回の授業で集中的に専門的な学習を行う利点も捨てがたいものがあるが、しかし他方、これは時間割の点で学生が選べる科目を制限してしまうことにもなっている。新学部では上述の方針に基づいて、学生の選択可能性を広げる方向でセメスター制を生かすこととした。
  • コース制は敷かない。2学科制をとることで、入学時点で学生の学習の基本的な方向性は定まっているという前提のもとに、各学科内では、学生の自主的な科目選択の可能性を高めるという主旨によるものである。
  • 専門ゼミナールは選択制とする。全ての学生が何らかの専門ゼミナールに所属し、同一教員の指導を2年間にわたって受けることが、国際経営学部のカリキュラムの特長のひとつといってよいものであったが、他方、上述のように必ずしも本人が希望したゼミナールに所属できるとは限らず、希望しないコースの希望しないゼミナールに所属することで学習意欲を喪失してしまう結果があったことも事実である。そのため、新学部では、やはり上述の基本方針に従い、あくまでも希望するゼミナールに所属する可能性を優先する(言い換えれば無理矢理にどこかのゼミナールに所属させることはしない)こととし、必修科目からはずし選択科目とした。しかし、国際経営学部のゼミナール制はとりわけそれが学生にとって個人指導を受けることができるという意味で、これまでも学生からも高く評価されているものであり、その特長は何らかの形で現代国際学部にも引き継がれるべきであろう。言い換えれば、専門ゼミナールに所属しないことになる学生のケアを学部としてどうするのかが今後検討されねばならない課題として残されている。
  • 1・2年次の英語必修科目はCEと異なり、統合科目とせず、内容別に個別科目とし、成績評価と単位認定も個々のクラス教員が行う。同一内容の科目はI〜IVと表示されているが、履修は段階制を取らない。すなわち、前のセメスターで単位取得できなかった同一内容の科目についても、次のセメスターのその科目を履修することができるとする。もちろん、必修科目であるから、単位取得できなかった科目はいずれ再履修しなければならない。
1)TOEFL・TOEICプログラムの提供
 専攻語学の到達度に一定の基準を設け、学生全員をその基準まで引き上げるとの目標に応じ、新学部では英語に関しては「TOEFL450点(paper based)、或いはTOEIC550点」を獲得することを卒業要件とすることとした。こうすることによって学生の英語学習に具体的な目標を与え、同時に、留学或いは就職などの進路選択において外国語大学生にふさわしい実力を身につけさせるためである。勿論、単にこうした目標設定を行うだけでなく、学生が目標到達できるためのケアも十分行わなければならない。この観点から、新学部では、正課外の授業としてTOEFLおよびTOEICのクラスを設け、全ての学生が受講できるようにする予定である。しかもこれも単に授業を設定するだけではなく、学部によるTOEFLテスト、TOEICテストを1年間に複数回実施する予定である(すでに平成15年度からTOEFLテストについては実施している)。

 これによって、学生は自らの英語学習の到達度を測ることができるはずである。こうした授業とテストの実施によって、「正課外教育の充実」という到達目標にも応じているといえる。
なお、これについては正課外教育の項であらためて述べる。
2)専門科目の一層の充実
 この到達目標については、新学部のカリキュラムは全く新しいカリキュラムであるため、実際に学部が始動してからでないと検証は不可能である。しかし、少なくともグローバル化の下、「人と本当に触れあい」「コミュニケーションを行える」場に身をおきたい、或いはそういう場にいられる人材になりたいという願いを現代の若者の多くがもっている、との観点から新学部のカリキュラムは設定されている。例えば、「NGOと国際ボランティア」や「国際観光論」などこれから広がると思われる活動分野に関する科目や「ホスピタリティ演習」や「コミュニケーション演習」など具体的に人とかかわる場を想定した演習科目などが設定されている。
3)英語開講教育プログラムの充実
 この到達目標に関しては、既に本学部では4年前から「国際経営特殊講義」を英語開講し、さらにその後、「国際観光論」「観光と交通」及び地域研究科目の「アジア事情2」を英語開講してきた。平成15年度には「カルチュラル・スタディーズ」も英語開講科目に加わった。このように英語教育の科目だけでなく、一般の講義科目についても英語開講課目を増やす努力を本学部は行ってきた。新設の現代国際学部においても、上記「国際観光論」「観光と交通」「カルチュラル・スタディーズ」に加え、「国際ジェンダー論」が英語開講科目に加わる予定であるが、今後ともこうした英語開講科目を増やす努力は続ける予定である。但し、英語開講科目は単に開けばよいというものではない。学生の理解能力が十分でないところで単に英語開講してもそれは学生にとっては理解不能な科目がひとつ増えるだけの話である。英語開講は単に学生の英語の聞き取り能力だけでなく、問題を英語で考えるという能力の向上を目指すべきものであり(そうでなければただ単に英語の聞き取りの授業を増やせばいいだけのことである)、そのためにはその英語の授業を学生が理解でき、考えることができるものでなければならない。そうした授業を行うことができる教員が英語開講科目を担当すべきであり、そうした教員の確保に新学部としても努力を傾注しなければならないと考えている。