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より良い世界を生きるために



中国語学科 小堀 慎悟
外国語学部中国語学科の小堀慎悟と申します。専門は?と聞かれれば、「中国近現代史です」と答えるようにしています。とはいっても、多くの方々が「中国」と聞いて思い浮かべるであろう中国大陸ではなく、イギリスの植民地統治下にあった香港について勉強しています。中でも私が特に関心を抱いてきたのが、香港における公衆衛生問題の歴史です。かつて西洋近代的な医療・衛生政策は植民地統治における数少ない「恩恵」として語られることもありましたが、今日では「統治のための有効な手段の一つ」として理解されています。こうした観点に基づいて、植民地統治下の香港の人々が西洋近代的な医療・衛生観とどのようにして出会い、どのように受け止めたのか、さらには自らの社会的な地位を維持するためにそれをどのように活用したのか、ということに注目しています。Covid-19のパンデミックを経験した私たちにとっても、過去の事例から公衆衛生対策が必然的に持つ「自由と介入のせめぎ合い」について考えることは、意味のあることではないでしょうか。

大学での教育においては、中国語講読の授業のほか、「中国学」という中国の歴史や文化に関する教養を身につける講義や、中国の政治・社会・歴史について学ぶゼミナールなどを担当しています。他者とコミュニケーションを取る上で、一定程度の言語能力があることは大前提です。しかし、たとえ完璧な言語能力を持っていたとしても、相手が属する政治的・社会的・歴史的な背景を理解していないと、コミュニケーションにおいて思わぬ落とし穴にはまってしまうことは少なくありません。中国に対する理解を深めることで、より深みのあるコミュニケーション能力を身につけるとともに、未来の日中関係、ひいては世界をより良いものとしていくためにはどうすればよいのか、学生のみなさんと一緒に考えることができればと思います。