1.地域創生科目とは
地域創生科目は、世界共生学科にしかないカリキュラムであり、日本海外問わず現場に自分たちの足で行き、調査・研究を行い、多文化共生の在り方、日本や外国、さらには地域の方々とのコラボレーションの重要性について学習します。少人数のグループで事前授業から取り組み、学生同士で考え、課題をどのように解決するかを話し合い研究します。私は、現地で1週間程度その場の雰囲気を直接肌で感じ、地域の人々の交流をしながら学習をできる環境に「面白そう」という興味をもち、2年生の夏休みに長野県の「南木曽」地域に1週間滞在し、学習させていただきました。
2.「南木曽」地域と活動内容
私は、南木曽地域の主に「妻籠宿」で活動をさせていただきました。妻籠宿は日本景観保存のルールを最初に作り出した町であり、さらに、重要伝統的建造物群保存地区に指定されています。観光地として作られた地域ではなく、日本の古い町並みがそのまま残っている地域なので、そこに住んでいる人もいるのが特徴です。多くの外国人が日本的な景観と馬籠宿からのハイキングを楽しむために訪れます。私たちは、その住民の皆さんや訪れた外国人にアンケートをとり、それぞれの立場の人が何を求めて、どのようなことを考えているのか調査をしました。
他にも、地域の方が様々な場所へ案内してくださったり、地域の行事である「火祭り」の準備を手伝ったりしました。火祭りには、浴衣を着て参加し、外国人の方々からも、地域の人々からも好評で嬉しかったです。これらの活動を踏まえて、自分たちが感じた地域の魅力や、課題を地域の方々に伝えました。若い世代であり、その地域のことをあまり知らない外からの新鮮な視点ならではの意見を伝えることが重要であったとともに、困難な部分でもありました。
3.日本を“知る“こと
私が、この地域創生科目に参加し、南木曽地域に行って一番に感じたことは、「知らなかった」ということです。私は、日本に生まれ日本に住んでいるのにも関わらず、このような歴史的な町や昔の日本人の知恵が、長野県の南木曽地域にあることを知らず生きてきました。普段の授業では、ストロー現象や人不足など田舎の課題について学びますが、実際に現地に行ってその場の空気を感じなければ分からないことがたくさんあります。その一つが人の温かさです。人の温かさを感じることで、その地域に潜んだ課題を初めて深く重く受け止めることができます。自分にも何かできることはないのかと身近な課題として考えるようになります。この地域創生科目で、知ることが次の行動へうつすことの第一歩であることを再確認することができました。そして、それと同時に、日本を知ることが世界を知ることにつながり、世界共生を考えるうえでのスタートラインになることを強く感じました。グローバルな社会を目指すうえで、日本を知ることにもう一度焦点を当て、共生とはなにかを考えていきたいです。