留学、そして日中討論会への参加
・大連への中期留学
~大連の魅力~
外国語学部 中国語学科 4年
上田 幸師 さん
私は大学の中期留学という制度を利用して、2016年の8月から12月まで約4か月間中国東北部に位置する大連という都市に留学していました。大連は中国の中でも歴史的、文化的に日本と深く関わりのある街で、市内には日本統治時代に建てられた建造物が多く残っています。また、現在は日本企業も多数進出しており、郊外でバスに乗っていると、窓から日の丸の国旗を掲げた日本企業の工場を多く見かけます。北京や上海ほど常に混雑した感じもなく、何より大連に住む方々は外国人に対して非常にやさしく接してくれるので、留学生にとっては生活しやすい環境です。
~留学生活~
私はそんな大連で、今年設立30周年を迎えた総合大学である大連大学に通っていました。通っていたといっても留学中に住んでいた寮は大学の敷地内にあったので、もはや大学内に住んでいたといっても嘘にはなりません。日本では、大学生は大学の近くにアパートやマンションを借りて住むというのが一般的ですが、中国ではそうではありません。留学生だけでなく、中国人学生のほとんどが、大学内に建てられた学生寮で暮らしているのです。そのため、授業後や休日も比較的簡単に友人と会うことができたり、一緒に食事に出かけたりすることができます。
校内には芝生のサッカーグラウンドやバスケットコートもあり、授業後現地の学生と知り合える環境が整っていたので、おかげで私も大連で生活を始めて早いうちから友人を作ることができました。留学生寮では一人暮らしをしていましたが、本科生用の学生寮もすぐ近くにあったので、友人を招いて遅くまでくだらない話で盛り上がっていたことは今でも懐かしい思い出です。
~教育実習とインターンシップ~
ところで、皆さんは「『中期留学』って4か月間だけだし、語学を習得するために海外に行くには少し中途半端な気がする」と思っていませんか?
正直なことを言うと確かに期間としては中途半端かもしれません。向こうでの生活にも慣れ、楽しくなってきたときに帰国しなければならないのですから。ですが、「中期留学」には「中期留学」にしかない、他の留学制度では体験できないプログラムが盛り込まれています。それが、3週間にわたるインターンシップです。私の場合は、2週間大連大学日本語学科で教育実習をさせていただいた後に、1週間日系企業と現地のホテルでインターンを経験しました。教育実習、インターンどちらで得た経験も確実に就職活動で活きましたし、今後社会に出たのちもっと活かせる場面が出てくると確信しています。
正直なことを言うと確かに期間としては中途半端かもしれません。向こうでの生活にも慣れ、楽しくなってきたときに帰国しなければならないのですから。ですが、「中期留学」には「中期留学」にしかない、他の留学制度では体験できないプログラムが盛り込まれています。それが、3週間にわたるインターンシップです。私の場合は、2週間大連大学日本語学科で教育実習をさせていただいた後に、1週間日系企業と現地のホテルでインターンを経験しました。教育実習、インターンどちらで得た経験も確実に就職活動で活きましたし、今後社会に出たのちもっと活かせる場面が出てくると確信しています。
中でも特に教育実習のことは今でも鮮明に覚えています。実習では大学1年生と2年生に一週間ずつ授業を行いましたが、やはり日本語を習いたての学生に、中国語と日本語を使って日本語文法を教えるのは容易ではありません。授業一週間前からPowerPointを用意したり、授業構成を考えては、先生に相談に行ったりと体力も時間もたくさん使いました。ですが、その分、授業を無事終えることができた時の達成感は相当でした。越えるべき山が大きいほど越えた時の喜びも大きいと言いますが、本当にその通りだと思いました。また、教育実習を経験したことで友人が増えたり、新たなコミュニティーをつくるきっかけになったのは言うまでもありません。先生としての立場を経て、人として視野を広げることができただけでなく、自分自身の中国語能力の向上、さらには交友関係の構築にも繋がった教育実習は私にとって非常に貴重な経験だと思っています。
・第三回日中大学生討論会への参加
留学を通して非常にたくさんの学びを得て新たな発見をした私が、帰国後まもなくして司会という立場で参加させていただいたのが、今回本学で行われた第三回日中大学生討論会でした。「トランプ時代の日中関係~若者の視点から~」をテーマに、トランプ政権の発足によって世界が大きく変わろうとしている今日において、果たして日中関係はどうあるべきかを日中両国の学生が意見を交換し合いながら、さらにお互いの国について理解しあえる、そんな場に参加させていただけたことを嬉しく思っています。
日本側、中国側からそれぞれ4名の学生が参加し議論を深めた討論会でしたが、私自身非常に興味深かった点がいくつかありました。
その中でも特筆されるべきはテーマでも掲げられているようにアメリカを交えて日中の関係が話されていた点です。これまで私はその関係性を日本と中国の二か国のみに焦点をあて見ていたため、今回の議論は非常に興味がわきました。討論に参加した学生それぞれの視点、考え方がありましたが、貿易摩擦をはじめ、TPP問題、一帯一路など日中だけでなく、アメリカも交えて考えなければいけない問題がまだまだ多いことを実感いたしました。そしてそれと同時に、アメリカの動きをみて、アジアで大きな影響を持つ日中が政治、経済面だけでなく、様々なことで協力していけば二国間のみならず、アジア、そして世界中に良い影響を及ぼす可能性があるのではないかと思いました。
その中でも特筆されるべきはテーマでも掲げられているようにアメリカを交えて日中の関係が話されていた点です。これまで私はその関係性を日本と中国の二か国のみに焦点をあて見ていたため、今回の議論は非常に興味がわきました。討論に参加した学生それぞれの視点、考え方がありましたが、貿易摩擦をはじめ、TPP問題、一帯一路など日中だけでなく、アメリカも交えて考えなければいけない問題がまだまだ多いことを実感いたしました。そしてそれと同時に、アメリカの動きをみて、アジアで大きな影響を持つ日中が政治、経済面だけでなく、様々なことで協力していけば二国間のみならず、アジア、そして世界中に良い影響を及ぼす可能性があるのではないかと思いました。
・最後に
日本には日本の文化があり、中国には中国の文化があります。私はお互いの文化を理解しあうことが非常に困難であることはもちろん理解しています。ですが同時に、もし本当に相互理解ができれば、日中関係はもっと良い方向へ進んでいくと確信しています。歴史を振り返っても、中華人民共和国政府の成立当初、日中両国は緊迫した関係にあり、すぐには正式な政府間関係を築くことはできませんでした。しかし、民間交流、民間貿易を経て、経済から政治を動かし、民間から政府を動かすことで外交の道を切り開き、国交正常化へとつながりました。これは、長期にわたり展開された幅広い民間外交が、両国間に友情を築き上げたことを証明しています。
討論会の学生の発言にもありましたが、現在においても日本のアニメや漫画の文化は中国の若者に広く受け入れられています。政府間では考え方の違いから今もなお距離がある両国ですが、市民レベルで相互理解を深めていくことがこれからの関係性の修復、発展につながっていくと思いますし、そう強く期待しています。