世界教養を学ぶ - 種から苗、そして花へ
はじめに
外国語学部 世界教養学科 3年
南 歩夢さん
2015年の春、私は外国語大学の新スタンダードをうたう世界教養学科の一期生として本学に入学しました。
複数の言語運用能力の向上や世界事情に対する理解を深めたいという思いから、自分の学び舎として同学科を選択しました。
今回、大学側よりこのような執筆の機会をいただいたので、世界教養学科一期生としての学びについて書かせていただきます。
複数の言語運用能力の向上や世界事情に対する理解を深めたいという思いから、自分の学び舎として同学科を選択しました。
今回、大学側よりこのような執筆の機会をいただいたので、世界教養学科一期生としての学びについて書かせていただきます。
初めての海外経験
私が初めて訪れた海外の土地、それはニューヨークでした。2015年の設立当初、世界教養学科ではニューヨークにおける海外研修を実施し、私も研修生の一人として参加しました。国際連合本部を訪問して特別講義を受けるなど、多岐に渡る分野の講義やニューヨーク市内のあらゆる機関・施設の訪問を通して教養を深めることができ、単なる語学研修ではない世界教養学科らしい研修でした。非常に充実した研修内容であった一方で、自分の言語運用能力の未熟さ、そして教養の乏しさ故に講義内容を理解しきれなかったことに後悔を覚え、濃密な二週間は自分にとって大きな糧となりました。一年次の夏期に海外に出向き、このような経験ができたことで、大学で多言語や教養を学ぶ上で非常に視野が広がったように思います。
第二の学び舎 - 東京外国語大学での学び
二年次には東京外国語大学への国内留学を選択し、主に世界事情について考える頭を養うことを目的として一年間勉学に励みました。日本の外国語大学を代表する同大学は、幅広い言語教育に限らず、世界中の地域研究やあらゆる学問分野の専門性が非常に高い研究・教育機関です。ニューヨーク研修を含めた世界教養学科における語学・教養学習を通じて国際関係学に興味を抱き、国際貢献の道へ進もうと考えた私にとって、学びを深めるための絶好の機会でした。平和構築分野および人道・人権分野において、国連機関で活躍される講師の方や国際連合のもとでの実務経験を有する教授陣による教育を受け、諸問題に対する分析を行ったり解決方法を模索したりする実践的な学習に数多く取り組みました。国際関係学の専門性を高め、理解を深めることで大きく成長できた一年になりました。
将来を見据えて
大学生活も残り半分となり、現在は夏期から始まる米国での留学に向けて勉学に励んでいます。また、特定分野の専門性を追究するため、そして国際機構のもとで国際貢献に携わるための選択肢を広げるために、大学院への進学を考えています。世界教養学科における日々の学習の中で見つけた自分の問題意識やニューヨーク研修を通じて得た教訓、そして東京外国語大学へ学習環境を変えることで受けた強い刺激によって、自分が目指すべき明確な目標を見つけることができました。あらゆる選択が可能な世界教養学科において、今後は自分なりに系統立てて学びを深め、世界で通用する言語運用能力と教養を身に付けていきたいと思います。
おわりに
世界教養学科において日本語と英語の双方からアプローチすることで体得することのできる包括的な知識および教養は、視野を大幅に広げ、世界の諸事象を多角的に考える力になります。その上で学生一人ひとりが各々の関心に合わせて分野を絞って学ぶことが可能ですが、すべての分野において専門性が高いというわけではなく、世界教養学科はまだまだ発展途上にあるように思われます。一方で、名古屋外国語大学、そして世界教養学科は、高度な言語運用能力および教養を身に付けるための多様な機会を学生に提供してくれます。世界教養を学ぶ上で重視されているのは多様な種を数多く蒔くことです。その中の一つを丈夫な苗まで育てるのか、あるいは複数の苗を新たな土壌に植えるのかは学生次第。また、時に環境を変えることで種が新たに芽を出すこともあるかもしれません。そうした中で学生にとって大切なのは、自分の興味や関心に忠実に、そして能動的に学ぶことだと思います。そういった学生の学問に対する意欲的な取り組みが学科の発展にも大きく貢献し、大輪の花を咲かせるためのより優れた教育環境が生まれるのではないでしょうか。