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宇治谷映子准教授



フィリピンでの国際ボランティア活動
外国語学部 英米語学科 宇治谷映子准教授

毎年、学生とともにアジアでの国際ボランティア活動を通じ、異文化交流を深めておられる、外国語学部 英米語学科の宇治谷映子先生にお話しをうかがいました。

国際ボランティア活動を通じた異文化交流

今年も異文化コミュニケーションのゼミ生を中心に13名の学生と、2名の教員が2週間にわたるフィリピンでの国際ワークキャンプに参加した。国内や海外で多くのワークキャンプを運営しているNPO団体のNICEと共催で、アジアで国際ボランティア活動をするのは、韓国、タイに続いて3回目、韓国では現地学生と一緒に介護施設でハンドマッサージを実施、タイでは小中学校で英語と日本文化を教えるボランティア活動を行い、異文化交流を深めた。

給食支援でフィリピンの子どもたちと交流

今回のボランティア活動のメインはマニラ近郊の公立小学校での給食支援、子供の数が多く、貧富の差が大きいフィリピンでは、家では満足に栄養の取れない子供達も多い。私達はそんな栄養不良のため実年齢よりも幼く見える子供達に、地元のお母さんボランティアに混じって、小学校で昼食を作り、子供達に提供した。毎日の活動は大量の食材を準備するところから始まるのだが、実家暮らしで普段包丁を持ったこともない学生の手つきは最初おぼつかないものであったが、慣れるにつれて地元のボランティアの手を煩わせることも少なくなった。

特別学級の子どもたちのため、
心を込めた給食づくり

給食ボランティアの醍醐味は何と言っても昼食を食べにくる子供達との交流。英語が公用語のフィリピンでも、小学校の子供達には思った程通じない。しかしそこは外国語を専攻している学生、毎日子供達と関わる中で、あっという間に日常タガログ語をマスターし、「マサラッポ?」(おいしい?)と声をかけられるようになった。

子どもたちの笑顔に勇気をもらう

たった一日であったが、特別学級の子供達との交流も、学生たちにとっては忘れられない思い出になったようだ。折り紙やあやとりなど日本の子供達の遊びを教えた学生は、最初思うようにはかどらないことに不安を感じていた。それでも何度も何度もあきらめずに挑戦し、できた作品を嬉しそうに見せてくれた子供達の満足げな表情に、とても勇気づけられたという。

過酷な生活環境に触れ、日常への感謝の気持ちを新たに

フィリピン滞在最後の日、学生たちのたっての希望で、マニラ市中の廃棄物が一日数千トン運ばれてくるパヤタスのごみ処分場を訪れた。実際ごみの中から換金できる資源を拾って生計を立てている人々が住んでいるコミュニティには行けなかったが、パヤタスに向かう道にはゴミを分別する収集所が点在しており、彼らの過酷な生活を垣間見ることができた。

今回の国際ボランティア活動は2週間という限られたものであったが、今後の学生たちの人生に大きな影響を与えるものであった。帰国後日常生活に戻った彼らは、きれいな水、空腹をみたしてくれるおいしい食事が得られることに感謝すると同時に、それが決して当たり前のことではないということに気付いた。ホテルでアルバイトをしている学生は、宴会で出る残飯の多さに心を痛めるようになった。又、別の学生は知り合いとの食事会などでフィリピンの現状について話し、食べ物を残さないように伝えているという。

ゴミを分別する収集所

地球市民として歩み出す

海外にボランティアに行くと話すと、日本国内にも困っている人がいるのに、なぜ海外に行くのかという質問をされることがある。しかし海外でボランティア活動をすることは、国内の問題に目をむける良いきっかけにもなりうる。フィリピンワークキャンプに参加した学生は貧困や栄養不良などに接し、「はたして自分の住む国ではどうなんだろう?」と疑問を抱きはじめている。そこで日本での現状を調べ、問題解決のために行動に移す学生も少なくない。

実際13名の参加者の中で、帰国後国内のボランティア活動に参加した学生は5名、今後国際ボランティア活動に参加する予定の学生は3名、そのうちの1名は国内と海外で、1年間のボランティア活動に従事する。又、大学院で国際開発教育の研究に打ち込んでいる学生や、青年海外協力隊に応募した学生もいる。フィリピンでの2週間のボランティア体験を通して、学生の間に着実に地球市民としての自覚が生まれつつある。